衆院解散論巡り与野党が応酬:野田・玉木氏が批判、自民党内にも懸念の声

自民党内の総裁選前倒し要求が浮上する中、衆院解散論がにわかに注目を集めています。これに対し、立憲民主党と国民民主党の代表は強く批判の声を上げ、自民党内からも慎重論が聞かれるなど、政治情勢は緊迫の度合いを増しています。

野田立憲代表、党内抗争での解散に「大義なし」

立憲民主党の野田佳彦代表は6日、横浜市での講演で、自民党内の権力闘争が原因で衆院が解散される可能性について、厳しい批判を展開しました。野田氏は「党内抗争の決着をつけるために税金を使って選挙をすることに大義があるのか」と疑問を呈し、このような解散は国民の理解を得られないと強調しました。さらに、石破茂首相に対する同情で内閣支持率が上がっているとの見方があるものの、仮に解散に踏み切れば「『どん引き』になるのではないか」と国民の反発を予測しました。

国民民主党の玉木雄一郎代表が福岡市で取材に応じ、衆院解散論について見解を述べる様子国民民主党の玉木雄一郎代表が福岡市で取材に応じ、衆院解散論について見解を述べる様子

玉木国民代表、「自分のため解散」と批判し準備加速

国民民主党の玉木雄一郎代表も同日、福岡市で記者団の質問に応じ、衆院解散論に対して強く反論しました。玉木氏は、首相がかつて内閣不信任決議案が可決された場合にのみ解散すべきだと主張していたことに触れ、「仮に解散すれば自民のためというより『自分のため解散』だ。国民から評価されるか疑問が残る」と述べ、解散の大義を問いました。党としての今後の対応については、「しっかり準備して迎え撃たなければならない。候補者擁立を加速したい」と語り、来る衆院選への準備を急ぐ姿勢を示しました。

横浜市で講演を行う立憲民主党の野田佳彦代表。衆院解散の可能性とその大義について語る横浜市で講演を行う立憲民主党の野田佳彦代表。衆院解散の可能性とその大義について語る

自民党内からも懸念の声:井岡幹事長「壊滅的」

衆院解散を巡る議論は、自民党内からも懸念の声が上がっています。自民党奈良県連の井岡正徳幹事長は、現状での解散について「壊滅的になる。今の体制で解散すれば参院選と同じような結果になる」と指摘し、党にとって非常に厳しい結果を招く可能性に警鐘を鳴らしました。一方、自民党の森山裕幹事長は鹿児島市での記者会見で、「首相の専権事項について申し上げることはせんえつ過ぎる」と述べるにとどめ、解散の是非については明言を避けました。

緊迫する政局の行方

衆院解散を巡る与野党の応酬は、現在の政局の緊迫感を如実に示しています。各党代表からの強い批判と自民党内の慎重論は、国民の視点から見た解散の大義や、その政治的影響の大きさを浮き彫りにしています。今後の首相の判断が、日本の政治の大きな転換点となる可能性を秘めています。

参考資料