石破茂首相(68)は7日午後、首相官邸で会見を開き、自民党総裁を辞職し、首相を退陣する意向を表明しました。昨年9月の就任から約1年。7月の参院選での歴史的大敗とそれに続く党内からの強い批判、総裁選前倒しの要求に直面し、ついに“石破降ろし”に屈した形です。
首相就任から退陣表明までの経緯
石破首相は昨年9月、5度目の挑戦で念願の自民党総裁に初選出され、その後の10月1日に首相に任命されました。しかし、今年7月に行われた参議院選挙での歴史的な大敗が、政権運営に大きな影を落としました。これを受け、党内からは石破首相への批判の声が相次ぎ、事実上の“退陣勧告”とも言える総裁選前倒し要求が急速に拡大。首相自身は今月2日の両院議員総会で、当面の続投の意向を示していましたが、前倒しの是非に関する意思確認手続きが予定される8日を目前に控え、ついに“石破降ろし”と呼ばれる党内圧力に屈する形で退陣を決断しました。
退陣を表明する石破茂首相の記者会見の様子
会見で吐露された「心残り」
会見の中で石破首相は、「国民の皆様の期待に応えることができず、本当にじくじたる思いで一杯です」と胸の内を吐露する場面がありました。特に、自民党が抱える「政治とカネ」の問題について、国民の不信感を十分に払拭できなかったことを挙げ、「これは私の最大の心残りです」と語り、悔しさをにじませました。
質疑応答の混乱と会見の幕引き
午後6時から始まった退陣会見は、質疑応答の途中で司会者から「時間の関係で、あと2問で終了させていただきます」とのアナウンスが入りました。開始から約48分が経過したところで終了が宣言されると、一部の記者からは質問を求める声が上がり、一時騒然となりました。司会者が書面での質問提出を促す中、マイクを通さずに発言する記者に対し、石破首相は「これは司会にお任せしております。私の判断ではございません」とコメント。記者の声に耳を傾けるような仕草を見せつつも、最後は静かにうなずき、わずかな笑みを浮かべながら「ありがとうございます」と頭を下げて会見を終えました。
石破首相は会見で、新総裁が選出されるまでの間、国民に対して果たすべき責任を着実に全うし、次期総裁・総理にその先を託したいと述べて締めくくりました。今回の退陣表明は、激動の日本政治における大きな転換点となるでしょう。
出典: Yahoo!ニュース / スポニチアネックス、AP通信