政界引退を表明した自民党元幹事長の石原伸晃氏(68)が7日、フジテレビ系情報番組「Mr.サンデー」に生出演し、この日辞意を表明した石破茂前首相のリーダーシップについて独自の視点から言及しました。国民からの高い人気とは裏腹に、党内で「孤立無援」とも評された石破氏の政権運営における決定的な弱点を、長年の政治経験を持つ石原氏が分析します。
フジテレビ系「Mr.サンデー」に出演し石破茂氏のリーダーシップについて言及する石原伸晃氏
石破茂氏、自民党総裁辞任と次期総裁選不出馬の表明
石破茂氏は同日午後、首相官邸で記者会見を開き、「このたび私は自由民主党総裁の職を辞することといたしました」と正式に発表しました。これに伴い、首相の座からも退き、次期自民党総裁選には出馬しない意向を明確に示しました。
石破氏は、党内では「党内野党」と称され、身内の不正にも厳しく目を光らせる正義感と、自らの信念を貫く姿勢で知られていました。この一貫した姿勢は国民からの高い人気を集めましたが、対照的に党内では仲間が少なく、在任中には閣僚人事においても困難を極めたと指摘されています。
石原伸晃氏が指摘する石破政権「求心力不足」の背景
番組MCを務めるフリーアナウンサーの宮根誠司氏から、幹事長経験のある石原氏に対し、「人脈と政治手腕、政策はリンクするものか?」という問いが投げかけられました。これに対し石原氏は、「リンクするし、石破さんも気の毒なところはあった」と前置きし、石破氏の政治的立場がその後の政権運営に与えた影響を深く分析しました。
石原氏は、石破氏が長年にわたり党内の反主流派として「安倍(晋三元首相)はけしからん!」と批判的な姿勢を取り続けてきたことが、求心力不足の根源にあると指摘します。
閣僚人事の困難と外交政策の混乱
石原氏の分析によれば、石破政権下では主要閣僚の選任にも大きな課題がありました。「まさか俺が外務大臣になるとは思わなかった」「まさか総務大臣になるとは」といった、心の準備ができていない人物が要職に就くケースが見られ、結果として「外交なんかもガタガタになった」と述べました。安倍内閣が築き上げてきた外交政策とは全く異なる方向性へと進んだこと、そして何よりも「仲間が寄ってくる、支えてやろうというブレーン(参謀)が寄ってくる、こういうものがなかった」ことが、石破内閣の決定的な弱点だったと強調しました。
戦後80年メッセージ問題に象徴される「孤立無援」
石原氏は、石破氏の「孤立無援」ぶりを象徴する具体的な事例として、戦後80年のメッセージ問題を挙げました。「一番いい例は、戦後(80年)のね、メッセージの話ですよ。あれはね、スタッフが誰もいないんだもん。学者も断っちゃうし、役所の人も寄っていかないのよ。それはダメですよ」と、周囲からの協力体制が得られなかった実情を明かしました。7日現在、戦後80年のメッセージはまだ発表されておらず、この事態はリーダーシップに不可欠な「協力体制」の欠如を浮き彫りにしています。
結論
石原伸晃氏の分析は、石破茂氏が国民からの支持は厚かったものの、長年の「党内野党」としての立場が、政権運営における人脈構築や協力体制の確立を阻害したという本質的な課題を指摘しています。政治における政策立案や実行には、国民の理解だけでなく、党内の強固な支持基盤と経験豊かなブレーンの存在が不可欠であり、その「求心力不足」が石破政権の困難な道のりを招いたと言えるでしょう。この評価は、今後の日本の政治リーダーシップを考える上で重要な示唆を与えています。
参考文献
- 石原伸晃氏が石破茂首相のリーダーシップに言及 “安倍はけしからん!”と言ってきた反動で「仲間が寄ってこなかった」と指摘 (Yahoo!ニュース / スポニチアネックス)
- 【表】ポスト石破氏は…自民党総裁選予想立候補者 (スポニチアネックス)