【ワシントン=黒瀬悦成】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は15日、米政府が今年秋、南部バージニア州ノーフォークの海軍基地に侵入しようとした在米中国大使館の館員2人を国外追放処分にしたと伝えた。
同紙によると、スパイ容疑での中国人当局者の国外追放は1987年以来。2人のうち少なくとも1人は中国の情報当局者とされる。米中両政府は事件を公表していなかった。
同基地は海軍特殊作戦部隊が本部を置くなど、特に機密性が高い場所とされる。2人は9月下旬、妻たちと一緒に基地に車両で進入。入り口の検問所の係員は2人が許可証を所持していなかったとして退去を指示したが従わず、基地内を進もうとした。基地内の消防車が車両の行く手を阻んだとしている。
2人は「道に迷った。係員の英語を理解できなかった」などと釈明。米当局者の1人は同紙に、2人が基地の警備体制を確認しようとした可能性があるとしている。
事件を受けた今年10月、国務省は米国に駐在する全ての中国外交官を対象に、米連邦政府や地方政府の当局者と面会する際は事前の届け出を義務付けた。