国民民主党代表の玉木雄一郎氏に対し、「最初から総理になる覚悟がなかったのではないか」との疑念が政治界隈で囁かれています。立憲民主党との連立に一貫して否定的な姿勢を示してきたことが、その背景にあると指摘されています。あまりにも消極的な態度から、「他人に言えない個人的な事情で総理になりたくないのでは」とまで勘繰る声が上がっている状況です。
国民民主党代表の玉木雄一郎氏
公明党の連立離脱が招いた自民・維新の急接近
当初、高市早苗氏は日本維新の会よりも国民民主党との連立に前向きな姿勢を示していました。これは、小泉進次郎氏が総裁に選ばれることを前提に、森山裕前幹事長と遠藤敬国対委員長との間で進められていた維新との連携とは異なる動きでした。高市氏にとって維新は「敵方の仲間」と映り、政策的に近く、後ろ盾である麻生太郎副総裁とも気脈が通じる国民民主党が本命視されていたのです。
しかし、公明党が連立を離脱したことで、自民・国民の連立構想は遠のきました。自民・国民の両党だけの議席数では、衆院の過半数には遠く及ばないためです。
一方で、自民党と維新の連携は急接近しました。前回の総選挙で、維新の吉村洋文大阪府知事は「公明党をぶっ潰す」と宣言し、大阪府内の全選挙区で候補者を擁立し全勝を収めています。「不倶戴天の敵」である公明党は、自民・維新の連立を組む上での障害となっていたのです。公明党が連立を抜けても、自民・維新だけで衆院に231議席を確保でき、過半数にはわずか2議席不足するものの、無所属議員を取り込むことで何とかなる状況です。両党はまだ正式な合意には至っていませんが、維新側は、大阪副首都構想や社会保障改革、馬場伸幸氏の入閣に加え、国会議員1割削減という高いハードルを提示し、自民党を揺さぶっています。
また、維新は野党連立も視野に入れて動いていました。与党批判を掲げて選挙を戦ってきた立場からすれば、野党連立は乗りやすい選択肢でした。しかし、立憲民主党と国民民主党の対立が一向に解消に向かわない中、野党連立は実現しないと判断し、自民党へ接近した経緯があります。
玉木氏への「最初から組む気がなかった」との批判
こうした維新の動きに対し、玉木氏は15日夜のYouTube番組で「自民党とやるなら、最初から言ってよという感じだ」「なんか二枚舌みたいな感じに扱われて、残念だ」と批判しました。しかし、政権交代を目指していた野党関係者の間では、「野党連立を潰したのは野田氏でも吉村氏でもなく、玉木氏だ」と指摘する声がよく聞かれるといいます。
立憲民主党が、首班指名で玉木氏を指名しても良いという好条件を提示したにもかかわらず、玉木氏側が最初から無理難題を突きつけ、歩み寄ろうとしなかったためです。国民民主党は、立憲民主党が違憲の部分があり「廃止すべき」と主張している安全保障法制の容認と、原発ゼロ政策の見直しを要求しました。これらは立憲民主党が結党時から掲げている二つの柱となる政策であり、到底受け入れられるものではありません。国民民主党は話し合いの場にはついたものの、その姿勢は「最初から連立を組む気がなかった」と解釈されるようなものだったと指摘されています。
結論
玉木雄一郎氏に対する「総理覚悟なし」との疑念は、複雑な政治情勢と連立交渉の裏側を浮き彫りにしています。公明党の連立離脱が自民・維新の急接近を招き、一方で野党間の連立交渉は玉木氏の姿勢によって不成立に終わったという見方が広がっています。野党再編の動きが活発化する中、国民民主党、特に玉木氏の今後の動向は、日本政治の未来を占う上で重要な焦点となり続けるでしょう。