世界経済の不透明感が高まる中、金(ゴールド)の価格が歴史的な高騰を続けています。単なる投資対象としてだけでなく、その普遍的な輝きで古くから人々を魅了してきた金は、今、安全資産としての価値を改めて証明しています。特に注目すべきは、富裕層が価格上昇時にこそ「買い増す」という独特の思考。我々一般の投資家が、この状況で賢く金を手に入れる方法について考察します。
金価格の記録的な高騰とその要因
近年、金価格の急騰が続いており、2024年9月末には国内小売価格が1グラムあたり2万円を突破しました。その後も10月に入り、連日のように史上最高値を更新しています。この動きは国内に留まらず、国際市場でも1トロイオンス(約31.1グラム)が4000ドルを超えるなど、わずか半年で約3割もの上昇を見せています。
金価格が高騰する背景には複数の要因が挙げられます。最も大きいのは、当時の米トランプ政権による政策運営の先行き不透明感であり、これがドルへの不信感を募らせ、安全資産としての金が買われる主要な後押しとなりました。また、世界的なインフレ懸念も影響しています。インフレ時には、現金資産の目減りを防ぐため、実物資産である金への資金シフトが活発化する傾向があります。金はまさに、その受け皿となっていると言えるでしょう。
富裕層に学ぶ投資戦略:「売る」ではなく「買う」
一般の投資家は、金価格がこれほどまでに高騰すれば「今こそ売却して利益を確定しよう」と考えがちです。しかし、富裕層の思考は異なります。彼らは、価値が上昇している時にこそ、さらに「買い増す」という戦略を取る傾向があります。金は貨幣価値に代わる実物資産であり、紙幣のように無価値になるリスクが極めて低く、大幅な暴落も起こりにくいとされています。
金が持つ普遍的な価値と魅力は、古今東西の権力者が黄金を求めた歴史からも明らかです。人々は本能的に金を所有したいと願うものです。この根強い人気は、現在の市場状況にも表れています。金価格が高騰しているにもかかわらず、需要が供給を上回り、品薄状態に陥っているのです。
金価格高騰を示す積み重ねられた金塊のイメージ
例えば、大手貴金属会社である田中貴金属は、2024年10月7日に、取り扱い地金のうち小型地金(5グラム、10グラム、20グラム、50グラム)の販売を一時停止すると発表しました。これは、注文が殺到し製造が追いつかない状況にあるためです。最も小型の5グラム地金でも販売価格は11万円を超え、50グラムとなれば100万円以上になります。それでも購入できない状況は、金の人気がいかに凄まじいかを物語っています。
庶民が金を手に入れる賢い方法への探求
誰もが憧れる金を、何とかして少しでも有利な条件で手に入れる方法はないのでしょうか。正面から高騰する価格に挑むのではなく、多角的な視点からアプローチを考えることが重要です。富裕層の「買い増し」戦略に込められた長期的な視点や、分散投資としての金の役割を理解することは、我々一般の投資家にとっても有益なヒントとなるでしょう。
結論
金価格の急騰は、世界経済の不確実性に対する市場の反応であり、安全資産としての金の価値を改めて浮き彫りにしています。富裕層が価格上昇局面で買い増すという戦略は、金の長期的な価値と安定性への信頼に基づいています。現在の供給不足の状況は、金への強い需要と関心の高まりを示しており、一般の投資家も金の購入を検討する際には、市場の動向を注視しつつ、賢く、そして戦略的に行動することが求められます。
参考文献:
- Yahoo!ニュース (2025年10月18日). 「お金持ちは金が高騰しても『買い増す』!庶民が少しでも安く金を手に入れる方法とは」. DIAMOND online掲載. https://news.yahoo.co.jp/articles/05bbde433b3054087d6b45a40b721f9bd63ffb05