遠州鉄道の車掌、中指動画で炎上 —「きさらぎ駅」考察地の駅で一体何が?

静岡県浜松市を拠点とする大手鉄道会社「遠州鉄道」の車掌が、利用客と見られる相手に対し中指を立てる動画がソーシャルメディア「X」(旧Twitter)上で拡散され、大きな批判を呼んでいます。31日時点では元の投稿は削除されているものの、この事態について「集英社オンライン」が遠州鉄道の担当者に問い合わせたところ、同社は動画の「事案」を認め、「決してお客様に対してあってはならないことです」とコメントし、不適切行為であったことを表明しました。地域社会に深く根ざした交通インフラを担う企業として、今回の事態は多くの人々の注目を集めています。

遠州鉄道、地域社会に根差す大企業で起きた「炎上事案」

静岡県内で最大の人口を誇る政令指定都市、浜松市。その街の中心部から南北を繋ぐ重要路線を運行する遠州鉄道は、鉄道事業だけでなくバス事業も手掛け、百貨店、介護、不動産など多岐にわたるグループ企業を展開し、市民の生活に不可欠な存在です。その遠州鉄道のある駅で、10月29日に今回の「炎上事案」が発生しました。

事の発端は、匿名アカウントからのXへの投稿でした。その投稿には、「拡散希望 遠州鉄道にてホームで電車を待っているだけでどけと言ってくる。切符を渡す際、舌打ちをしてきたり電車を撮ってるだけで中指を立ててきます! 明らかに悪意のある行動だと思われます。適切な処罰が下ることを祈ってます」というメッセージとともに、車掌が発車直前にカメラに向かって中指を立てる様子が映った動画と、その車掌のアップ写真が掲載されていました。投稿主は強い憤りを感じていたようで、そのアカウントは今月作成されたばかりで、他の投稿は一切ありませんでした。この動画は10月30日午後8時までに150万回以上再生され(現在は削除済み)、瞬く間に拡散。コメント欄には「あり得ない」「中指立てるのはアウト」「鉄オタと思ってバカにしてるな」といった批判の声が殺到する一方で、「晒す前に会社に言ったら?」といった冷静な意見も寄せられ、大きな議論を巻き起こしました。

静岡県浜松市を走る遠州鉄道の車両と駅の風景静岡県浜松市を走る遠州鉄道の車両と駅の風景

遠州鉄道が認めた「あってはならない行為」と背景にある都市伝説

遠州鉄道が今回の動画内容を不適切な行為と認めたことで、事態の深刻さが浮き彫りになりました。問題の現場となったのは、浜松市中央区に位置する「さぎの宮駅」です。この駅は、地元住民が通勤・通学に利用するごく一般的な無人駅ですが、インターネット上で有名な都市伝説「きさらぎ駅」の舞台として考察されている場所としても知られています。「きさらぎ駅」とは、2004年に行方不明になったとされる女性が匿名掲示板に書き込んだ怪奇体験談で、新浜松駅から電車に乗った女性が見知らぬ「きさらぎ駅」に到着し、そこで次々と奇妙な体験をするという内容です。

この都市伝説は書籍、漫画、映画など様々なメディアで取り上げられ、その影響で「さぎの宮駅」には鉄道ファンやミステリーファンが数多く訪れるようになりました。都市伝説と現実の駅が交錯する中で、今回の車掌による不適切行為が発覚したことは、遠州鉄道の企業イメージにとって大きな痛手となり、公共交通機関としての信頼性が問われる事態となっています。

今回の事案は、公共の場で働く従業員の行動が、瞬時に広がるSNSによって企業全体に大きな影響を与える現代社会の特性を改めて示すものとなりました。遠州鉄道には、この事態に対し適切な対応が求められると共に、今後の再発防止策が注目されます。


参考文献: