厳戒態勢と大雨下の渋谷ハロウィーン2025:現場の賑わいと参加者の本音

今年も渋谷ハロウィーンが到来した。2019年をピークに来街者数は減少傾向にあるものの、その狂乱ぶりは他を圧倒する。2025年のハロウィーン当日が金曜日と重なったことで、渋谷区は過去最大級の警戒態勢を敷いた。雷を伴う大雨の予報で「近年で最も盛り上がらないのでは」との声も聞かれたが、10月31日の渋谷には予期せぬ光景が広がっていた。本記事では、厳重な規制と悪天候の中、多様な人々が渋谷に集結した様子と、彼らの率直な声に迫る。

2025年渋谷ハロウィーン:区の厳戒態勢と融和のメッセージ

渋谷区は、今年のハロウィーンに向け異例の厳戒態勢を敷いた。ハチ公像は10月30日から11月1日早朝まで完全封鎖。スクランブル交差点から宮益坂下までは31日16時から車両通行止めを実施した。さらに、コンビニ等への酒類販売自粛要請や、電動キックボード「LUUP」の渋谷駅周辺21カ所ポート貸出・返却停止など、多岐にわたる対策が講じられた。
しかし、長谷部健渋谷区長のメッセージは、過去の強硬姿勢とは異なり穏当だった。10月2日の会見で区長は、「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」をテーマに、路上飲酒、喫煙、ゴミのポイ捨て、滞留といった迷惑行為は許さないとしつつも、「いいハロウィーンだけを楽しんでほしい」と融和的に呼びかけた。2023年の「【注意】渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません。」という強いメッセージと比較すると、区側も年々ハロウィーンとの向き合い方を模索している様子がうかがえる。

大雨を物ともせず:渋谷を訪れた人々

ハロウィーン当日、天候は雷を伴う大雨が予報され、「近年で最も盛り上がらないハロウィーンになるのでは」との見方もあった。しかし、10月31日に文春オンライン取材班が渋谷に潜入したところ、そこに広がっていたのは予想を裏切る賑わいだった。土砂降りの雨にも関わらず、思い思いのコスチュームに身を包んだ人々が、渋谷の街に繰り出していたのである。

モンスター系のコスプレを楽しむ人々で賑わう雨の渋谷ハロウィーンの様子。モンスター系のコスプレを楽しむ人々で賑わう雨の渋谷ハロウィーンの様子。

多種多様な参加者たち:それぞれの渋谷ハロウィーン

渋谷を訪れた人々からは、多様な参加動機やハロウィーンへの思いが語られた。
派遣社員として働く20代の織姫さんは、今年で3、4回目の参加。「話しかけてもらったら一緒に写真を撮ったりして。やっぱり楽しいから渋谷に来ちゃう。今日も神奈川からこのために来ました」と語る。
夕方から参加した40代のゴリさん(性別不詳)は、初めての渋谷ハロウィーン。「たまたま嫁が倅と一緒に実家に帰っているので、楽しみに来ようかと。倅は小学生ですが、この格好で渋谷に来ていることも知っています」と話し、ファミリーマートで購入した2万円ほどの衣装を披露。「迷惑行為をする人もいるので、苦情を言いたい人がいるのもよくわかる。ただ、良識を守って街をよくしようと考えている自分としては、『ハッピーハロウィーンにしたい』の一言ですね」と自身の考えを述べた。
また、多くのコスプレイヤーから写真撮影を求められていたのは、中国出身の学生、桐原拓斗さん(25)。彼のコスチュームは2〜3カ月かけて自作したものだ。「1年のうちにこういう服を着られる機会は少ない。だから、歴史ある渋谷ハロウィーンに参加することに決めました」と、特別な機会への思いを明かした。
コスプレの種類、衣装への向き合い方、街を訪れる目的はそれぞれ異なる。この多様性こそが、渋谷ハロウィーンを形成する要素と言えるだろう。

結論

2025年の渋谷ハロウィーンは、区による最大級の厳戒態勢と雷を伴う大雨という悪条件にも関わらず、多くの人々を惹きつけ、賑わいを見せた。区が迷惑行為の禁止を呼びかけつつ融和的なメッセージを発信する中で、参加者たちはそれぞれの思いを胸に渋谷の街を楽しんでいた。彼らの声は、渋谷ハロウィーンが単なる騒乱の場ではなく、多様な価値観が交錯する文化的現象であることを示唆している。

参考資料

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