人口移動の動向とその背景に関心が高まる中、総務省の最新データに基づき、人が集まる自治体の「転入超過率」ランキングを深掘りします。昨年発表された転出超過ランキングと対をなす本調査では、タワーマンション開発による東京の各区だけでなく、地方都市の意外な魅力が明らかになり、現代日本の多様な人口動態を浮き彫りにしています。
首都圏を牽引する東京都心部と顕著な地方都市
2024年の「転入超過率」ランキングで堂々の1位に輝いたのは東京都中央区で、4.81%という高い転入超過率を記録しました。この背景には、タワーマンションに代表される大規模集合住宅の開発が活発に進み、職住近接のライフスタイルを求める若年層やファミリー層が継続的に流入していることがあります。東京23区からは中央区以外にも、台東区(9位、1.05%)、品川区(12位、1.01%)、大田区(15位、0.92%)、板橋区(16位、0.92%)、足立区(18位、0.87%)など、多くの区がトップ100にランクインし、首都圏の強い人口吸引力を示しました。
都会のビル群と晴れた空の風景。タワーマンション開発が進む都市のイメージを表しており、多くの人が集まる「転入超過率」の高い自治体の背景を象徴する。
一方、地方都市の健闘も際立っています。宮崎県都城市は4位(1.36%)にランクインし、人口約16万人の規模に対して2203人もの転入超過を記録しました。その他にも、長崎県大村市(7位、1.14%)、茨城県つくば市(10位、1.01%)、神奈川県海老名市(11位、1.01%)などが上位に名を連ねています。本ランキングは「人口に対する転入超過の割合」で算出されているため、人口規模の小さい自治体ほど上位に出やすい傾向がありますが、同時に人口規模の大きい大都市も多数ランクインしており、全国的な人口移動の複雑な様相を呈しています。
「転入超過率」データの算出方法と統計上の留意点
本ランキングは、総務省が公表する「住民基本台帳人口移動報告(2024年・年報)」を基に作成されています。対象は国内の市区町村間移動に限定されており、海外からの転入や転出、および同一市区町村内での転居はカウントに含まれていません。転入超過率は、他市区町村からの転入者数から他市区町村への転出者数を差し引いた「転入超過数」を、2024年1月1日時点の人口で割ることで算出しています。
このデータは住民票の届出をベースにしているため、出生や死亡による自然増減は含まれていません。また、届出時期のずれなど、統計上の制約がある点に留意が必要です。対象期間は2024年1月から12月までの届出ベースの数値が用いられています。
まとめ
2024年の「転入超過率」ランキングは、都市開発と利便性を背景とした東京都心部の強い求心力に加え、地方においても独自の魅力や政策によって着実に人口を集めている自治体が存在する現状を浮き彫りにしました。この人口移動のトレンドは、今後の地域活性化や都市計画、そして住みやすい街づくりを考える上で重要な指標となるでしょう。
参考文献
- 総務省「住民基本台帳人口移動報告(2024年・年報)」
- 東洋経済オンライン




