青森のラーメン店で従業員がクマを撃退!「レジェンド」の驚くべき献身

11月9日早朝、青森県三戸町にある人気ラーメン店「麺工房てんや三戸店」で、従業員が仕込み中に体長約1メートルのツキノワグマに襲われるという衝撃的な事件が発生しました。男性従業員は負傷しながらもクマを投げ返して撃退し、その後もスープの仕込みを続行するという驚くべき行動を見せ、SNSでは「超職人」「伝説」と大きな話題を呼んでいます。今回は、オーナーの佐々木剛さんの証言をもとに、この信じられない出来事の全貌と、「レジェンド」と称される従業員の献身に迫ります。

突然の遭遇:早朝のラーメン店を襲ったクマ

事件は11月9日午前5時頃に発生しました。「麺工房てんや三戸店」は朝6時から「朝ラーメン」を提供しており、従業員はスープの仕込みのため、店の裏側にある仕込み場へと向かいました。ガス栓を開けようとしたその瞬間、従業員は突然、体長約1メートルのクマと鉢合わせになったといいます。クマは間髪入れずに従業員に殴りかかってきましたが、幸いにも顔面をかすめる程度で済み、致命傷は免れました。しかし、まぶたや鼻を切る怪我を負い、出血が続いていたとのことです。

負傷を押して仕事を続行した「レジェンド」

午前5時半頃に開店準備のために店に到着したオーナーの佐々木剛さんは、厨房で血だらけになりながらも黙々と仕事をする従業員の姿に驚愕しました。佐々木さんが「どうしたのか」と尋ねると、従業員は淡々と「やられたが、投げ返した」と答えたといいます。最初は状況が理解できなかった佐々木さんですが、詳しく聞くと、「大きい犬かと思ったらクマだった」という信じがたい事実が判明しました。
クマは店の正面、国道4号線方面へ逃げ去ったとのことですが、従業員の出血は止まらず、佐々木さんは病院へ行くよう促しました。しかし、従業員は「大丈夫、大丈夫。お店開けないと」と、あくまで仕事を続けようとしました。佐々木さんが「ばい菌が入ったら大変だ」と説得を続け、ようやく救急車を呼ぶに至ったそうです。従業員は右のまぶたと鼻を縫うほどの怪我を負い、顔も腫れていますが、現在は自宅療養をしながら通院しています。

青森のラーメン店に出没したツキノワグマのイメージ写真青森のラーメン店に出没したツキノワグマのイメージ写真

元医療従事者の冷静さと「レジェンド」の由来

この勇敢な従業員は、約1年前に同店に入社したばかりの57歳の男性で、以前は透析専門病院に勤務していた医療のスペシャリストでした。長年医療従事者として働き、定年を前に好きなラーメンの仕事に挑戦したいと転職してきたといいます。佐々木オーナーは彼を「とにかく真面目な男」と評し、従業員の間では人生経験豊富なベテランであることから「レジェンド」というあだ名で親しまれています。学生時代は野球に打ち込み、身長160センチほどながらもがっしりとした体格の持ち主です。格闘直後の緊張状態に加え、元医療従事者としての知識があったためか、「この程度の傷なら大丈夫」と冷静に判断し、仕込みを続行できたのかもしれません。

臨時休業と今後の安全対策

現在、「麺工房てんや三戸店」は臨時休業を余儀なくされています。事件当日に仕込まれていた食材は系列店の「麺工房てんやわんや」で提供が続けられました。
佐々木オーナーは、「三戸店の裏は畑で隣は幼稚園もある。事故が日曜で幼稚園が休みでよかった」と安堵の表情を見せています。青森県内でクマの出没は話題になっていましたが、まさか自分の店で遭遇するとは想像もしなかったとのことです。
まだクマは捕まっておらず、従業員の安全確保のため、現在は店の周囲にクマよけの柵を設置する準備が進められています。これが完成するまでは店の営業再開は困難であり、夜間の麺の仕込みも恐怖を感じる状況です。他の従業員やアルバイトは、系列店で勤務を続けています。

青森のラーメン店で起きたこの稀有なクマとの遭遇事件は、従業員の驚くべき職業意識と冷静な判断力を浮き彫りにしました。負傷しながらも職務を全うしようとした「レジェンド」従業員の献身は、多くの人々に感動を与えています。店舗の安全対策が完了し、安心して営業が再開できる日が待たれます。この事件は、日本全国で増加傾向にある野生動物との遭遇問題に対し、改めて地域社会全体での警戒と対策の重要性を投げかけています。