2025年11月19日に放送されたTBSの人気バラエティー番組『水曜日のダウンタウン』の一幕が、インターネット上で大きな話題を呼びました。番組内で上皇陛下のお写真が使用されたこと自体も注目を集めましたが、それ以上に深刻な問題として、天皇陛下のお写真や映像を悪用した詐欺広告がSNS上で横行している実態が明らかになっています。
『水曜日のダウンタウン』での皇室画像使用と宮内庁のガイドライン
番組では「免許持ってる?持ってない?ドボンゲーム」と題し、著名人の自動車免許の有無を当てるクイズが展開されました。その選択肢の中に上皇陛下のお名前があったことで、視聴者は驚きを隠せず、X(旧Twitter)上では一時「上皇さま」がトレンド入りする事態となりました。
テレビ番組が皇室のお写真を使用することについて、宮内庁のウェブサイトには「宮内庁が著作権を有する写真や映像等の使用許可について」という文言が公開されています。これによると、「当庁が著作権を有する写真や映像等の著作物を出版物・テレビ放映・資料などに使用する場合には、原則として、報道・教育・広報など公共性、もしくはそれに準ずると判断されたものに限ります」と明記されています。さらに、「営利目的の販売品や広告、個人的な目的や特定の個人・団体の宣伝となるもの又はそのおそれがあるものは認められません」とも綴られています。スポーツ紙記者や皇室担当記者の見解では、『水曜日のダウンタウン』の制作陣は事前に宮内庁に許可を得た上で写真を使用した可能性が高いとされています。
SNS上で横行する天皇陛下を悪用した詐欺広告の実態
番組での画像使用は適切な手続きを踏んで行われたと推測されますが、宮内庁が禁止している「営利目的の販売品や広告、個人的な目的や特定の個人・団体の宣伝となるもの」に該当する、より悪質なケースがSNS上で散見されています。
X上では、「YouTube見てたら天皇陛下が投資の宣伝してたんだが…」という投稿が拡散され、1000万回以上も表示される事態となりました。投稿者によると、YouTubeで表示される広告の中に、天皇陛下が投資を促すような内容があったといいます。これはディープフェイク技術を用いて作られた偽の広告である可能性が高く、明らかに違反行為であり、その悪質性は極めて高いと言わざるを得ません。皇室担当記者は、宮内庁に対し、広告主はもちろんのこと、こうした広告を配信するYouTube側にも抗議すべきだと指摘しています。
現在の天皇陛下のお写真
このような悪質な広告運用は今回が初めてではありません。2023年には、アメリカのMeta社が運営するFacebookやInstagram上でも、天皇陛下のスピーチ映像を改変した詐欺広告が流れたことが報じられています。相次ぐ悪質な広告に対し、宮内庁がどのような対応を取っているのか、問い合わせが行われました。
宮内庁の対応と今後の課題
宮内庁からは、このような広告が存在することは「承知しています」との回答がありました。個別の事案への具体的な対応については回答を差し控えるとしつつも、「必要に応じて、プラットフォーム事業者や関係省庁等と連携しながら、適切に対応しております」と表明しました。
皇室の尊厳を傷つけ、国民を欺く悪質な詐欺広告は、デジタル技術の進展とともにその手口を巧妙化させています。プラットフォーム事業者による広告審査の強化はもちろんのこと、関係省庁と連携した宮内庁の継続的な対応が不可欠です。一刻も早く該当の広告が削除され、同様の被害がなくなることを願うばかりです。





