ABEMAで無料配信がスタートした連続ドラマ「スキャンダルイブ」が注目されている。関連動画の再生数が本編の配信前に2500万回を突破し、11月19日から配信された第1話はABEMAの総合ランキング1位、世界同時配信されたNetflixでは日本2位となった。業界で話題になっている理由は、その内容はもちろんだが、ABEMAに負けたことだという。
【写真を見る】柴咲コウ&川口春奈の脇を固める「まるで大河ドラマ」なキャスト陣とは?
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「スキャンダルイブ」では所属タレントのスキャンダルを巡る芸能事務所と週刊誌の“攻防”が描かれる。民放プロデューサーは言う。
「ABEMAは配信を前に、150人を超える芸能界関係者を集めた試写会を開きました。まず驚いたのはキャスティングが豪華なこと。主演が柴咲コウ、敵役に川口春奈、脇を固めるのも、鈴木保奈美、横山裕、前田敦子、ユースケ・サンタマリア、柄本明……。民放ゴールデン級の俳優を惜しげもなく押し込んでいたことでした」
民放ならTBSの日曜劇場、NHKなら大河ドラマ並みと言っていいかもしれない。
「さらに、地上波では難しい超リアルな内容です。主演の柴咲コウは大手から独立して芸能事務所を立ち上げた社長という設定ですが、まるでスターダストプロモーションから独立して個人事務所を立ち上げた彼女を当て書きしたかのような設定です。ようやく看板俳優がドラマの主演をつかんだものの、さっそく大手事務所から嫌がらせを受ける。さらに、週刊誌のスキャンダルをもみ消すために泣きついてきた業界のドン(柄本明)はB系のあの人か? それともK系のあの方がモデルなのか? と思いを馳せてしまうような描かれ方です」
川口春奈が演じる週刊誌記者のやさぐれ感も気になるが、業界関係者向け試写での満足度は5段階中の4・8、ドラマのリアル度は同じく4・5と高評価だったという。
開局以来の大赤字
「ドラマ関係者は今、『ABEMAにやられるなんて』と地団駄を踏んでいます。ABEMAは2015年の開局以来、赤字が続いていましたからね」
ABEMAの運営会社であるサイバーエージェントのメディア&IP事業は、20年度が163億円、21年度が140億円、22年度が130億円、23年度が123億円と、4年間で総額556億円の営業赤字を計上していた。ところが、今年度の第1四半期は14億円、第2四半期は33億円、第3四半期は22億円の営業黒字を計上して、ようやく利益を出し始めたという。
「NetflixやAmazonプライムが当たっている昨今、ここでABEMAは乾坤一擲のヒットを狙っているのだと思います。CMも入らず56分、1本あたりの制作費は8000万円を下らないのではないでしょうか」
12月に社長の座を退くサイバーエージェントの藤田晋氏は、自身のブログに《Abema TVをしっかりとやり遂げ、そして自分の最後の大仕事として、私の代よりもっとずっと会社が成長していくようなサクセッションを万全の準備と体制で遂行し、必ずや成功させて見せます》と記している。
「藤田社長は今月、持ち馬のフォーエバーヤングが世界最高峰の米ブリーダーズカップ・クラシックで優勝して700万ドルを獲得するなど、現在放送中の『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS)の上を行くようなツキの良さを見せていますからね」
もっとも、どこよりも悔しがっているのはフジテレビかもしれない。





