大手外食チェーンや小売業で、元日営業をやめたり、年末年始の営業時間を短縮したりする取り組みが広がっている。背景にあるのは人手不足に伴う働き方改革で、ゆっくりと年末年始を過ごすことで従業員の満足度を上げて離職率を下げ、顧客サービスの向上を図る狙いがある。
外食大手ロイヤルホールディングス(HD)が運営する「ロイヤルホスト」は、国内219店中203店で大みそかと元日を休業する。元日休業は3回目だが大みそか休業は初めてで、通常営業は商業施設入居の4店だけだ。ロイヤルHD傘下の外食チェーンでは「天丼てんや」も201店中157店が元日閉店するなど6ブランドで休業日を設定した。
ロイヤルホストは平成23年から24時間営業の縮小に取り組み、29年1月には全店が24時間営業をやめた。営業時間の短縮で売り上げは増加に転じた。「従業員の満足度が上がった。シフトも組みやすくなり繁忙時間も顧客対応が手厚くできたからではないか」(広報)。30年に年3日の店休日を導入し元日休業に踏み切った。今回の年末年始休業は社員の休養を一層深めるためという。
大戸屋HDの「大戸屋」(350店)も大みそかと元日の連休店舗が前年同期の51店から57店に拡大。元日休業は5店増えて183店に上る。
すかいらーくHDは終日休業ではなく営業時間の短縮にとどめる。グループ店舗の約8割にあたる約2700店が12月31日午後6時に閉店し、元日は正午に開店する。「年末年始は来店客が多い時期。一律に休みを取ることは難しい」ものの「年越しから元旦まで家族で過ごしてほしい」と実施を決めた。
小売業では、パルコが全18店で初売りを1月2日に設定し、元日休業する。セブン&アイHD傘下のスーパー「イトーヨーカドー」と「ヨークマート」は計51店で初めての元日休業を決めた。
コンビニエンスストアでも、ローソンとセブン-イレブン・ジャパンが、元日休業実験を計画中。物流や商圏への影響をはかるためで、実施店舗の選定中だ。(日野稚子)