いきなり特等米を獲得 スマート農業の実力は…

[ad_1]



技術革新が進むスマート農業

技術革新が進むスマート農業
その他の写真を見る(1/2枚)

 担い手の高齢化や労働力不足に悩む日本の農業の課題解決に向け、ICT(情報通信技術)やロボット技術を使ったスマート農業の導入が加速している。リモコン一つで農機を遠隔操作、熟練農家の経験と勘を目に見えるデータに落とし込む-。誰もが高品質な作物を生産できる農業の時代はすぐそこまできているのかもしれない。(田村慶子)

 兵庫県北部の養父市、山間部に急斜面の棚田が広がる能座地区は、65歳以上人口が57・65%と高齢化、過疎化が急速に進む集落だ。日本の農業の課題を抱え込んだようなこの土地で、先進技術を活用した農業を目指して農林水産省が採択した「スマート農業実証プロジェクト」が4月から進んでいる。

 「ハンドル操作の難しいぬかるんだ所も驚くほど真っすぐ進む」

 同地区で酒米を作る「アムナック」の社員、大内良平さん(45)が驚くのはクボタが開発した無人運転のロボットトラクター。準天頂衛星「みちびき」による高精度の位置情報を活かして誤差数センチ以内でルートを正確に耕していく。

 また、人力で行えば半日以上かかる草刈りも、ラジコン操作によってわずか44分で済ませている。作業データはクラウド上で一括管理、手間取った作業とその解決法を“見える化”することで誰もがどこでもその経験を次に生かすことができるという。

全国モデルに

 アムナックは兵庫県三木市に本社を置く建設会社の農業事業を行う子会社として平成27年に設立。今年4月からは京都大学やクボタ子会社、ソフトバンクなどと作る共同事業体で、スマート農業の技術開発のために角度30度超の、全国有数のきつい傾斜を持つ養父市能座地区の棚田11ヘクタールで稲作に挑んでいる。

 「初心者でも特等米が収穫できました」と笑みをこぼしたのは藤田彰社長(77)だ。醸造用玄米の品質を表す基準は3等から特上まで5段階あるが、この地区で収穫される玄米は過去30年間1等米のみだった。ところが藤田さんたちはスマート農業の実証プロジェクトを始めてたった1年で特等米と評価される米を育てた。スマート農業の実践により、農業経験ゼロの社員2人で農地を管理することができた。

 農家などの平均経営耕地面積はこの20年で約1・6倍に拡大しており、国はスマート農業の活用による超省力、高品質生産の実現を後押しする。養父市のプロジェクトに参加する京都大学農学研究科の飯田訓久教授は「条件不利地の養父市でスマート農業が実現すれば、全国モデルとなる」と話す。

熟練の技をスマートに

 ヤンマーとコニカミノルタの合弁会社「ファームアイ」(大阪市)が取り組むのは、特殊なカメラを装備したドローンを使って農地を診断し、農作物の生育状況を把握し、生産効率をあげようとするサービスだ。

 葉が成長するほど緑色が濃くなり赤色の可視光を吸収し、近赤外線を跳ね返す特性を利用して生育度合いを測る。従来は熟練した農家が、生育不良や育ちすぎなどを目測や経験で判断していたことを、色分けした画像で一目瞭然にする。このデータを元に肥料の量を自動制御する無人ヘリなどで散布し、土壌改善につなげることもできるという。

 有機米の栽培に力を入れる中道農園(滋賀県野洲市)の中道唯幸さん(61)は、サービスを約3年前に取り入れたことで、収穫の全体の約30%を占めていた2等米が半減し、1等米が約85%と改善した。「生育のムラや肥料の与えすぎによる病気の心配がなくなり、品質向上に役立っている」という。

 また、積水化学工業が提供するICT活用の水管理システムも取り入れる。「事務所や出先でもスマートフォンやパソコンで水やりができるようになった」と作業の効率化を進める。

 高齢化や人手不足などの課題を抱えた日本の農業。今ある農地を持続させるためにも、また、新規参入を増やすためにもスマート農業の活用に期待が集まる。

 京都大の飯田教授は「今後はスマート農業の技術を最大限に生かせる大規模農地の経営に意欲を示す企業や農業NPOなど法人を呼び込むことが必要だ」と指摘。そのためには、“稼げる農業”が必要だと強調する。「効率を上げ、売れる高品質なものを作るには、検証や改善につなげられるデータが必要で、ここにスマート農業の技術が役立つ」と話している。

[ad_2]

Source link