高齢者の移動をめぐる問題が課題になるなか、運動機能が衰えても気軽に移動できるようにと開発された自動運転の1人乗り小型モビリティーの試乗体験会が25日、東京都文京区内で行われた。開発した自動運転技術ベンチャー「ZMP」(同区)は、まずはコミュニティーバスのように駅と病院などの往復からビジネス化することを目指しており、「年を取っても外を自由に動ける仕組みを作りたい」としている。
「こんにちは」。高齢者を乗せ、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷(みょうがだに)駅前を走り出した車いす型の自動運転車「ロボカー・ウォーク」(全高1・2メートル、全長1・1メートル、幅0・65メートル)は歩行者が近づくと減速。正面に電光表示された目をウインクさせながら、自らあいさつした。
立体地図データのほかセンサーやカメラで把握した周囲の情報をもとに、路上駐輪された自転車などの障害物を避け、横断歩道や赤信号では自動で停車。曲がる際はウインカーを光らせつつ「左に曲がります」と音声でも周囲に伝達。青信号になったり周囲に人がいないことを確認したりするのはわずか1秒ほどで、スムーズに走り出す。
徒歩と同じ時速3~4キロのスピードで、約1キロ先のZMP本社に10分ほどで到着。夫婦で試乗した東京都渋谷区の大野忠義さん(77)は「揺れも少なくスムーズで、操作の必要がないから周囲の風景もよく見られた。乗用車は持っているが数十分の歩行はしんどくなってきており、近所への買い物がこれでできたらとても楽だ」と語った。