保釈中の日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡した事件では、プライベートジェット(PJ)による出国に盲点があったことが浮き彫りになった。ゴーン被告が使ったとみられる関西国際空港のPJ専用施設では荷物の保安検査が義務化されていないが、PJ施設のある各地の空港も事情は同じだ。税関のエックス線検査も違法薬物の持ち出しなどを対象にしており全件実施されるわけではない。(牛島要平、土屋宏剛)
関空を運営する関西エアポートによると、関空からPJで出国する場合、一般旅客と同様に出国手続きを受けるか、第2ターミナルの専用施設「プレミアムゲート 玉響(たまゆら)」を使用するかの選択肢がある。玉響では保安検査、税関・検疫・出国審査といった各種手続きを受けることができる。
最初の「関門」は保安検査だ。航空法で危険物を機内に持ち込んではならないとされ、同法施行規則では、航空会社は安全確保のために必要な措置をとる義務があると定められている。
ただ保安検査は、ハイジャックやテロを防ぐといった旅客の安全を守ることが目的。PJの利用者がハイジャックすることは考えられず、「安全のためにどのような措置をとるかは航空会社側の判断に任されている」(関西エア広報)という。
さらに、専用施設を使用する場合に関西エアなどに提出する「運航情報」では、航空会社側が保安検査の「要」「否」を選択できる。航空会社側が求めなければ、保安検査が行われないというのだ。