「対立長期化と原油価格の上昇懸念」 大和総研・小林俊介シニアエコノミスト





大和総研・小林俊介氏

 米国とイランの対立が激化し、長期化することが最大のリスクだ。そうなれば日本経済への影響も避けられないだろう。大きく影響が出るのが原油価格で、1バレル当たり10ドル上がれば、国内総生産(GDP)が名目で0・45%引き下げられると試算している。これは約2・5兆円の富を失ったことに相当し、企業業績への影響も必至だ。

 特に今年は米中交渉の進展で製造業を中心とした世界経済の減速が底を打ち、加速に転じるとの期待が高まっていた。対立の激化で不確実性が高まれば、製造業の輸出や設備投資などにも悪影響が及ぶだろう。

 家計への負担も増加する。原油価格が上昇すればガソリン価格や電気料金の値上げにもつながるためで、昨年10月の消費税増税で内需が弱まっている中、さらに拍車をかける可能性がある。

 仮にホルムズ海峡が封鎖されるようなことになればさらに事態は深刻だが、米国以外にも敵を作ることになるため、イランもそこまでは踏み切らないのではないか。注目点はトランプ米大統領の支持率。大統領選を控えイラン攻撃で支持率が上がるようだと、対立が加速するリスクが高まる。



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