トヨタ自動車労働組合が今年の春闘で、定期昇給やベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分などを合わせた総額として組合員1人あたり1万100円の賃上げを要求する執行部案を固めたことが23日、分かった。賃上げ要求額としては前年回答額の1万700円を下回ることになるが、競争が激化する自動運転など次世代技術に従業員らが対応する費用など、働きやすい環境に向けた総合的な「人への投資」の充実なども継続的に協議する方針。
世界経済の先行き不透明感などの経済環境も踏まえて、年間一時金(ボーナス)は満額回答だった前年の6・7カ月分を下回る6・5カ月分の要求案とする。働く意欲を高めるため、ベアにあたる額が人事評価に応じて従来よりも変動幅が広がる、メリハリのついた賃金制度も求めることになる。
トヨタ労組では昨年から、中小企業などの横並び意識の脱却を意識し、要求段階でもベア具体額を明示しないこととした。また、昨年春闘後は、人事制度全般を継続協議する「労使専門委員会」を設置して協議を続けており、この議論の進展内容も踏まえて今年の要求内容を決めることになる見込み。
トヨタ労組は執行部案を27日に組合員に提示。2月7日に正式決定する予定。トヨタ労組の動向は、他企業の労使交渉にも影響を与える可能性がある。
トヨタの令和2年3月期の通期売上高見通しは前年割れの予想となっている。