政府の東京五輪・パラリンピック推進本部事務局で、民間大手から派遣された複数の非常勤職員が勤務時間終了後に未明まで庁舎に残り、作業を続ける勤務形態が常態化していることが29日、分かった。非常勤職員は超過勤務がない採用条件だが、退庁時間が午前4時を過ぎて居残り時間が月約48時間となり、働き方改革で定めた残業の上限である「原則月45時間」を超えるケースもあった。事務局側は自発的な居残りで超過勤務に当たらないと主張するが、実質的に残業を強いる運用を続けている可能性がある。
事務局は取材に対し、「非常勤職員が勤務時間後に自発的、自主的に自学や研究、私物整理をしているケースがある」と説明。居残り時間の給料については「国からは支払っていない。派遣元から受け取っているかは承知しておらず、調べる立場にもない」としている。
関係者らによると、事務局は平成27年度以降、令和元年8月時点で鉄道・航空事業者や大手電機メーカーなど民間大手から年間2~9人を新規に受け入れている。採用時の条件では、午後5時15分までの5時間45分、週5日勤務などとしており、超過勤務はないと定めている。
だが、情報公開請求で開示された深夜帰宅用タクシーの乗車伝票を集計すると、事務局では平成30年度、非常勤職員が深夜帰宅タクシーを月1~20回、計89回使用。乗車時間が記載された80回のうち午前4時台が5回あり、同3時台13回、同2時台20回、同1時台36回、同0時台6回だった。
同年度の非常勤職員数は12~14人で推移していた。伝票に記入された行き先や筆跡を確認すると、使用状況には偏りがあった。14人がそれぞれ1~31回使用し、うち3人は10回以上だったとみられる。