感染の運転手、山梨に3回宿泊 県が認める「濃厚接触ない」





新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて、山梨県が開いた市町村向け説明会。宿泊施設に配る手指用消毒剤が渡された=23日、県庁(渡辺浩撮影)

 新型コロナウイルスへの感染が28日に確認された奈良県在住の60代男性運転手のバスが山梨県内に立ち寄っていたことについて、同県福祉保健部は29日、奈良県から得た情報として立ち寄りを認めた。男性は3回、山梨県内に宿泊していた。

 山梨県によると、男性は中国・武漢からのツアー客を8~11日に大阪から東京へ31人乗せ、9~10日に県内に宿泊。12~16日には東京から大阪へ29人を乗せ、12~13日に県内に宿泊した。男性は肺炎も発症しており、厚生労働省はツアー客から感染したとみている。

 このほかに男性は、大連からの観光客を乗せたバスを運転し、19~20日に県内に宿泊した。いずれもツアー客は県内の観光地数カ所で下車したという。

 ただ、奈良県は男性に聞き取り調査した結果、狭い空間で長時間一緒にいた「濃厚接触者」は山梨にはいないと判断したという。

 ツアー客は全員帰国しており、この中に滞在先で濃厚接触者がいた可能性があるが、県は「コロナウイルスの潜伏期間は長くて14日程度とされ、武漢からの客から感染したとすれば既に発症しているはずだ」として、宿泊施設などへの調査は行わないとしている。

 長崎幸太郎知事は29日午前の記者会見で、県内立ち寄りについて「国から情報提供がない」とした上で、「感染のリスクと、いたずらに不安を起こさないことの兼ね合いを専門家に判断してもらい、公表すべきは公表するよう国とやり取りしたい」と述べ、慎重に対応する考えを示した。

 山梨県内には富士山周辺を中心に多くの中国人観光客が訪れる一方、旅行のキャンセルも相次いでいる。同日開かれた県の対策会議では、中国が春節(旧正月)で連休となった24日から来月2日だけで、宿泊予約のキャンセルが数千人規模に上っていると報告された。

 県は宿泊の落ち込み対策として、台風19号で被災した地域で宿泊料金などを割り引く国の支援策「ふっこう割」の適用拡大を政府に求めるとしている。



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