肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大に金融市場が動揺している。春節(旧正月)明けとなる3日の上海株式市場は急落して取引が始まり、これに先立つ東京株式市場も大幅反落した。中国政府による大規模な移動制限で人やモノの行き来が滞れば、世界経済への打撃となるのは必至で、市場はこうした対応の効果を見極めようと神経質な展開を続けている。
日経平均株価の下げ幅は朝方、一時400円を超えた。前週末の米国株が急落した流れが続いた。続いて開いた上海市場でも、上海総合指数は前営業日の1月23日と比べて8・7%安くスタートした。ただ、買い戻しも入り、日経平均は下げ幅を縮小している。東京外国為替市場は1ドル=108円台半ばでもみ合っている。
中国国内の人の移動制限が強化されていることに加え、世界各国も感染拡大予防措置に動いている。さらに中国人民銀行(中央銀行)が公開市場操作(オペ)で1兆2千億元(約18兆7千億円)を市場に供給すると発表し、相場を下支えしている。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「人やモノの行き来がなくなれば実体経済はマイナスになるが、新型肺炎の感染拡大が進めばさらなる経済の下押しになる。今のところは各国当局が取るべき対策を取っていると市場は評価している」と話している。