日本製鉄は7日、子会社の日鉄日新製鋼が運営する呉製鉄所(広島県呉市)の閉鎖を柱とする大規模な合理化に踏み切る、と発表した。和歌山製鉄所(和歌山市)の高炉1基も休止。鉄鋼製品の需要減や原料価格の高止まりに直面する中、余剰生産設備の削減で収益回復を図る。
呉製鉄所では、第1高炉の操業を令和3年9月末をめどに休止。第2高炉は休止を決定済みで、5年9月末に川下を含む全生産設備を止める。高炉を備えた一貫製鉄所の閉鎖は初めてという。
和歌山は第1高炉を4年9月末までに休止。既に決めている八幡製鉄所小倉地区(北九州市小倉北区)の高炉休止も3年3月末から半年前倒しする。他の製鉄所も一部設備を止める。
呉の約1千人を含め、休止設備で働く約1600人の従業員は原則、配置転換する。また、合理化で粗鋼生産量は約1割(約500万トン)減るが、約1千億円の収益改善を見込む。
巨額の損失を計上するため、2年3月期の連結最終損益は過去最大となる4400億円の赤字(前期は2511億円の黒字)に転落する。業績悪化の責任をとり、進藤孝生会長と橋本英二社長の実質40%強をはじめ、全役員が7月から1年間報酬の一部を返上する。