3月期決算企業の令和元年4~12月期決算の発表が7日、ピークを迎えた。米中貿易摩擦や自然災害が業績を下押しし、SMBC日興証券の集計では、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比5・9%減の19・8兆円と低迷した。さらに肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を受け、約2割に当たる121社が令和2年3月期の営業利益の予想を下方修正。上方修正した72社を大きく上回り、先行きの厳しさが際立ってきた。
6日までに決算を発表した東京証券取引所1部上場企業806社(金融除く、全体の59・7%)の業績を集計した。新型コロナウイルスの拡大で生産活動や需要が減退すると見込み、業績を下方修正する企業が急増。通期の営業利益は前期比で7・7%減少すると予想している。
一般的に4~12月期決算発表の時期は、年間決算の3月期末に近いため通期業績見通しの修正は少ないとされる。SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「今年は例年より多くの企業が修正しており、年度末に向け修正に追い込まれる経済状況にある」と指摘する。
特に減速が目立つのが製造業だ。元年4~12月期の営業利益は前年同期比で10・2%も減少。米中貿易摩擦の長期化で中国向けの輸出が多い機械(29・5%減)や電気機械(11・0%減)が大きく落ち込んだ。
第5世代(5G)移動通信システム向けの需要拡大で精密機器(15・4%増)など好調な分野もあるが、「想定より懸念材料が増えた」(伊藤氏)ことで、製造業全体の通期の営業利益は前期比で10・0%減少する見通しだ。昨年10月の消費税増税の影響も3月期末にかけて顕在化するとみられ、通期の営業利益予想では非製造業も4・0%の減少を見込んでいる。