【台南=田中靖人】台湾南部・台南市塩水区で8日、街中で花火を乱射して無病息災を祈る祭り「塩水蜂炮」が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から大規模なイベントが敬遠される中、「疫病を鎮めたという伝説のように武漢肺炎が早く終息してほしい」(黄偉哲台南市長)と開催を決めた。
「塩水蜂炮」は毎年、旧歴の元宵節(小正月)に行われる民俗行事で、「世界で最も危険な祭り」の一つとされる。今年は7、8の両日行われ、主催する寺院「武廟」によると、8日夜は30万人以上が参加。周辺の50カ所近くの廟のほか、自前で準備する企業などもあり、「1千万発以上」という花火が発射された。
19世紀末の清朝末期、貿易で栄えていた塩水で疫病が流行。「関帝」のお告げで爆竹を鳴らして街を練り歩いたところ疫病がやんだのが由来とされ、徐々に規模が拡大し現在の形になった。ロケット花火や爆竹に当たると「御利益」があるとされ、ヘルメットと防火服に身を包んだ参加者らが次々に火の粉を浴びていた。自由時報(電子版)によると、14人がやけどなどのけがを負った。
武廟の管理人、林益仁さん(77)は「清代の爆竹には硫黄が使われており、町中にまいたことで殺菌されたのではないか。昔は上半身裸で参加したものだ」と話した。