TBSテレビ(東京都港区)がドキュメントバラエティー番組「消えた天才」の中で、実際の映像を早回しする加工を行い放送していた問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は13日、放送倫理違反があったと認定する意見書を公表した。
審議対象となったのは平成30年1月3日の卓球とフィギュアスケート、同11月4日のサッカー、昨年8月11日のリトルリーグの放送回。特に、リトルリーグの回では、全国大会で全打者三振の完全試合を達成した当時12歳の少年を取り上げ、試合映像を早回しして、実際の投球速度より2~6割程度速く見せる加工をしていた。同番組は昨秋に放送を終了している。
意見書では同番組が、著名なアスリートに匹敵する実力を持ちながら、“消えた”選手のその後を追うドキュメンタリー要素を持つことに言及。加工しなければ「天才ではなかったといっているに等しく、番組の趣旨そのものを自ら裏切ることになる」とした。
実際の映像と受け取れる状況の中で映像を早回ししたことなどに対し、「事実を曲げる手法は過剰な演出といわれてもやむをえない」と判断。ドキュメンタリーや情報番組で過剰な演出にならないよう注意を呼びかける日本民間放送連盟(民放連)の放送基準などに抵触するとして、「放送倫理に違反する」と指摘した。