新型コロナウイルスの感染拡大で、8日に初日を迎える大相撲春場所(大阪場所)が史上初めて観衆がいない中で本場所を実施することになった。決定が発表された1日、ファンや関係者からは「仕方ない」「悲しい」との声が聞かれた。
「売り上げが下がるだろう」と困惑した様子なのは、会場のエディオンアリーナ大阪(大阪市浪速区)近くの居酒屋「気まま亭」店主、高倉あいさん(58)。例年であれば、相撲関係者だけでなくファンらも来店し、にぎわっているといい、書き入れ時を逃してしまうことに。高倉さんは「相撲だけ観客を入れるわけにはいかないですから」と寂しげに話す。
30年来の相撲ファンで、毎年春場所を観戦しているという同市西成区の靴職人、広瀬尚子さん(37)は「年に1度の大阪場所を楽しみにしていたので、生で観戦できないのは悲しい」と肩を落とした。
無観客開催となれば影響は多方面に。会場にある相撲案内所(相撲茶屋)。チケット販売などをしているが、ある案内所を運営する男性によると、無観客が決まったこの日までに、チケット購入者に配る瀬戸物やタオルなどの準備を終えてしまっていたという。
経済効果に詳しい関西大の宮本勝浩名誉教授によると、大型イベントや興行が中止になったりした場合、会場で販売される関連グッズの売り上げのほか、来場者が利用する鉄道などの公共交通機関、遠方から訪れる人が宿泊するホテルなどに影響が出やすい。
今回の大相撲については「大阪場所は関西のファンが多く訪れると予想され、宿泊への影響はそれほど大きくないかもしれない」とした上で、「大相撲は15日間という、イベントとしては比較的長期間開催されている。期間が長いだけに経済的な損失も大きくなるだろう」としている。