栃木女児殺害 勝又被告の無期確定へ 最高裁





 勝又拓哉被告

 平成17年に栃木県今市(いまいち)市(現日光市)の小1女児を殺害したとして、殺人罪などに問われた勝又(かつまた)拓哉被告(37)について、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は被告側の上告を棄却する決定をした。無期懲役とした1審宇都宮地裁の裁判員裁判判決を破棄し、改めて無期懲役とした2審東京高裁判決が確定する。4日付。4裁判官全員一致の結論。

 平成30年8月の2審判決は、供述の信用性を判断する補助証拠に過ぎない取り調べ録音・録画(可視化)映像で犯罪事実を直接認定したのは違法として1審判決を破棄。その上で、別事件で逮捕後に母親にあてた「自分で引き起こした事件、お母さんや、みんなに、めいわくをかけてしまい、本当にごめんなさい」とする手紙について「被告が殺害の犯人でないとすれば合理的に説明することは困難」と判断。手紙を有罪認定の根拠とし、状況証拠から被告が殺害の犯人と認められるとして再び無期懲役を言い渡した。

 2審では、当初の起訴内容から殺害の日時・場所の範囲を大幅に広げた予備的訴因を追加。弁護側は、予備的訴因の追加は裁判員が判断しておらず、手紙の評価も重大な法令違反があるなどとして上告したが、第2小法廷は決定で、上告理由に当たらないとした。

 勝又被告は捜査段階で殺害を認めていたが、公判では否認。無罪を訴えていた。弁護側は「取調官に迎合して虚偽の自白をした」と主張。物証が乏しく、2審では自白の信用性や録画を証拠として用いることの是非が争点となっていた。

 勝又被告の弁護人は6日午後、東京都内で記者会見し、午前中に接見した勝又被告が「直接的な証拠はないはずなのに、有罪を是認したことは承服できない。再審請求など自分自身の無罪を示すために戦っていきたい」と話したことを明らかにした。

 弁護人よると、勝又被告の健康状態はよく、社会復帰に向けた強い意志を持っているという。

■栃木小1女児殺害事件

 平成17年12月1日、栃木県今市市(現日光市)で下校途中の小学1年、吉田有希(ゆき)ちゃん=当時(7)=が行方不明となり、翌2日、茨城県常陸大宮市の山林で遺体が発見された。26年6月、栃木、茨城両県警が勝又拓哉被告を殺人容疑で逮捕。凶器は見つかっていない。



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