日本製鉄は11日、令和2年春闘の組合要求への回答で、3年度から定年を現在の60歳から65歳に引き上げると表明した。経営環境が厳しい中でも少子高齢化に伴う製造現場などでの労働力不足を回避する狙い。
日鉄は今春闘で2年、3年ともベースアップ(ベア)に相当する賃金改善を7年ぶりに見送ると回答した。元年4~12月期の連結最終損益が3573億円の赤字に転落。呉製鉄所(広島県呉市)の閉鎖を決めるなど苦境が鮮明になっている中で、厳しい決断を迫られた。
11日の回答書では「危機的状況を乗り越え、一日も早く確固たる収益基盤を有する産業・企業として復活を果たしたい。そのためにも定年延長を含めた雇用基盤の再構築に最優先で取り組む」と説明した。