新型コロナで欧州が経済対策 EU4兆円超 独は「無制限」





フォンデアライエン欧州委員長=13日、ブリュッセル(ゲッティ=共同)

 【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染が広がる中、欧州連合(EU)や加盟国が経済対策に相次ぎ乗り出した。航空会社の大幅な減便や工場の稼働休止などを受け、ユーロ圏が景気後退に陥る恐れが指摘されており、冷え込む景気の下支えが喫緊の課題となっている。

 EUの欧州委員会は13日、感染拡大を受けた経済支援に約370億ユーロ(約4兆4千億円)を投じる方針を発表した。景気悪化を深刻に捉え、資金の調達手段が乏しい中小企業の倒産を防ぐ狙い。雇用対策などにもあてる。

 欧州委は2020年のユーロ圏19カ国の実質成長率がマイナスになるとの見通しを示している。実際にマイナス成長となれば、欧州債務危機の影響を受けた13年以来7年ぶり。

 フォンデアライエン欧州委員長は13日、「新型コロナの世界的大流行は医療にとって前例のない課題であるだけでなく、経済にも大きな衝撃だ」と強調した。

 欧州委はこのほか、財政赤字の上限や国家補助を制限を定めたEUの財政ルールを柔軟運用する異例の措置をとり、加盟国の対応を側面する考え。こうした措置は感染状況が特に深刻なイタリアが要望していた。同国はすでに75億ユーロの緊急対策予算を組む方針を発表している。

 一方、財政規律に厳格なドイツも13日、感染拡大で経営が悪化した企業に無制限の資金支援を行うと表明した。メルケル首相は「必要なことは何でもやる」と景気改善への不退転の決意を語った。

 欧州では独航空大手ルフトハンザが6日、数週間でグループ全体の運航能力を最大50%削減すると発表。同グループは拠点を置くドイツ、スイス、オーストリア、ベルギーの欧州4カ国の政府に資金援助を打診する方針を固めている。

 製造業への影響も大きく、ロイター通信によると、日産自動車、仏自動車大手ルノーや独大手フォルクスワーゲン(VW)では感染拡大の影響で部品調達に支障が生じ、スペイン国内の工場を一時休止。欧州では外食店などの閉鎖も相次ぎ、消費の急激な落ち込みも避けられないとみられている。



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