新型コロナウイルスの感染拡大に対する政府の7都府県を対象にした緊急事態宣言を受け、百貨店大手各社では食品売り場を営業するかどうかで対応が分かれたまま8日を迎えた。国と東京都で営業に関する方針が割れる中での宣言に、期間を「当面の間」に設定するなど対応に苦慮している。
8日からの該当店舗の全面休業を早々に決めたのは三越伊勢丹ホールディングス(HD)と松屋だ。
三越伊勢丹HDは三越日本橋本店や伊勢丹新宿本店など首都圏6店と小型店27店に加え、「商品の発送などの運営にも人手が必要」(広報担当者)とされるオンラインショップも基本は休止。専門の電子商取引(EC)サイトとして立ち上げた食品定期宅配の「ISETAN DOOR(イセタンドア)」や化粧品販売に特化した「meeco(ミーコ)」など4事業は通常通り営業する。松屋は銀座本店と浅草店を休業した。
大丸松坂屋百貨店は大丸心斎橋店や東京店、松坂屋上野店、博多大丸など7店を完全休業し、郊外店の大丸須磨店と松坂屋高槻店は食品売り場のみ時短営業する。
一方、食品売り場の営業を継続するのは高島屋とそごう・西武だ。高島屋は運営する百貨店・専門店の12施設で、そごう・西武も西武池袋本店や西武渋谷店など9店で、それぞれ食品売り場の時短営業を決めた。
関係者によれば、経済産業省から食品売り場の営業継続要請が出たのは緊急事態宣言の発令が正式決定した7日のこと。「急な要請で驚いた。東京都知事は完全休業を求めているようだったし、方針が異なり混乱している」と打ち明ける。
経産省の要請に応じて食品売り場を営業すれば、休業による雇用調整助成金は受けられなくなる可能性もある。とはいえ、「感染を収束させるのが第一ではあるが、立地する自治体の意向には従う」(別の関係者)としており、東京都の方針が出る10日に向けて、水面下の調整が続きそうだ。(日野稚子)