米紙ワシントン・ポストは14日までに、トランプ政権が新型コロナウイルス対策として3月21日に陸路の国境を原則的に閉鎖した措置を利用し、メキシコとの国境にたどり着いた中米からの不法移民1万人近くを送り返していたと伝えた。
この措置は「税関・国境警備局(CBP)は健康リスクのある人の入国を禁じる」と規定し、移民手続きを巡る従来の法令で定められた手続きを省略できる。国境警備当局は不法移民が入国管理施設に入る前の野外で対応。健康診断もしないまま平均96分間でメキシコ側に戻しているという。
昨年のこの時期は多くの不法移民が押し寄せ、一時は2万人近くを施設に拘束したこともあったが、現在は100人以下に激減した。不法移民数自体が過去数十年で最低レベルになっている。
野党民主党議員はトランプ政権が新型コロナに伴う措置を口実に法律で与えられた以上の権限を行使していると批判する。これに対し、CBPのモーガン局長代行は「これは移民ではなく、公衆衛生の問題だ。封じ込め戦略を進めている」と説明している。(共同)