夏のボーナス大幅ダウンへ 中小は支給見送りも 家計に打撃






 緊急事態宣言で営業自粛を迫られた企業の業績が悪化するとみられる中、夏のボーナス(賞与)の大幅な落ち込みが予想されている。消費税増税や米中貿易摩擦の打撃が蓄積していたところに、新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、経営体力が弱い中小零細企業の中には、支給そのものを見送る動きも出そうだ。リーマン・ショック以来の下落幅が見込まれ、家計にも試練の夏となる。

 「特に影響を受けるのは中小の非製造業だ。資金繰りに詰まり倒産しそうなのにボーナスは支払えない」

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員はこう指摘する。1人当たりのボーナス支給額(従業員5人以上の事業所)は前年比7・6%減の約35万2千円と大幅な下落を予想。リーマン後の平成21年夏(9・8%減)以来となる落ち込みだ。

 自粛経済で需要が蒸発した飲食や宿泊、レジャー関連など、非製造業を中心に打撃が広がっている。4月から大企業などに同一労働同一賃金が義務付けられ、パートなどに賞与が支給される押し上げ要因もあるが、コロナ禍の圧倒的な下押し圧力にはかなわない。

 日本総合研究所も6・4%減と大幅なマイナスを予想。もともと令和元年度下期の業績低迷で今年の春闘はベースアップ(ベア)見送りが相次ぎ、ボーナスの基準となる基本給も伸び悩んだ。景気減速を新型コロナがダメ押ししたとみる。

 夏は“不可抗力”としても冬はどうか。第一生命経済研究所は夏が前年比4・0%減と予測した上で、「冬や来年夏はさらに厳しくなる」(新家義貴主席エコノミスト)とみる。悪化が必至の今年度の業績をもとに労使交渉を行うからだ。企業活動縮小で残業代も減るとみられ、家計の所得環境は一層厳しさを増す。



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