政府は16日、成長戦略を議論する未来投資会議を官邸で開き、銀行間の送金手数料についてコスト構造を明らかにして「合理的水準へ引き下げを図りたい」(安倍晋三首相)との方針を示した。送金手数料が転嫁される口座振込手数料の高止まりがキャッシュレス決済の普及を妨げているとの問題意識がある。
銀行間手数料は銀行が送金先の銀行に支払う「手間賃」で、送る側が口座振込手数料に転嫁する形で利用者から徴収している。事務処理の自動化が進んだ中でも40年以上前から金額が変わっておらず、公正取引委員会も是正を求めていた。
またスマートフォンなどを通じた少額送金の利便性を向上させるため、金額の大小にかかわらず1件振り込むごとに手数料が発生する仕組みを見直し、定額制を導入するなど料金体系の多様化を検討するよう求めた。
一方、働き方改革で推進する兼業・副業の普及に向け、労働者の自己申告制による労働時間の管理ルールを定める方針も示した。複数の職場にまたがる労働時間の把握、管理は難しく、兼業・副業に慎重な企業は多い。兼業先の超過労働で労働基準法に基づく法定労働時間の上限を超えた場合でも本業企業は責任を問われないようにする方向だ。