裁判所「前例ない事態」 最高裁長官、憲法記念日を前に会見





憲法記念日を前に会見する最高裁の大谷直人長官=最高裁(代表撮影)

 最高裁の大谷直人長官が3日の憲法記念日を前に会見し、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの裁判期日が取り消されていることに対して「裁判所にとっても前例のない事態で、新型コロナの影響は甚大と受け止めている」と述べた。

 裁判再開の時期や対応については「画一的に行うことは難しい」とした上で、「各地域の感染状況などを踏まえ、運用上の工夫を重ねながら、業務の正常化に向けた検討をしていかなければならない」と話した。

 最高裁が1日に全国の裁判所に通知した事務連絡では、緊急事態宣言が延長されても「裁判手続きのうち一定程度を再開することが考えられる」としている。

 新規の提訴や申し立ては受け付けているほか、緊急性の高い令状や人身保護などの業務は継続しており、大谷氏は「いかなる状況でも国民から負託された役割を自覚しつつ、適正な裁判を実現していくことが司法の重要な使命だ」と強調。裁判員裁判の再開は「不安がどこにあるのか十分に聞いた上で、裁判員が参加できる環境を整える必要がある」とした。

 民事訴訟IT化の一環として、裁判所と遠隔地の弁護士事務所をインターネットでつなぎ、当事者がウェブカメラを通じて資料の閲覧などができる「ウェブ会議」については、「当事者が裁判所に出頭するために移動したり、直接会わずに手続きを進めたりできる」と指摘。「今回の感染拡大のような局面でも有用だ」との見解を示した。



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