バッグでの出し入れがしやすい化粧ポーチの多彩な展開で広く支持を集めるSAZARE。代表社員の高橋節子さん(60)は、販路を開拓したいメーカーとバイヤー、消費者をつなぐマッチングサイトも立ち上げるなど、多忙な日々を送る。(那須慎一)
--なぜ起業したか。また、企業理念は
「50歳を過ぎ子供が独立した頃、改めて残りの人生を考えました。自分の棚卸しをした結果、『アイデアのある商品を作り、人に喜ばれたらいいな』と思い至りました。そんな時に、娘からバッグに入れて使うバッグインバッグのプレゼントをもらいました。そのバッグを見ているうちに、もっと工夫したら使いやすいかも、といろいろなアイデアが浮かんできました。その後、試作を100個近く作ったのが化粧ポーチの事業の始まりでした」
「縦に収納ができるポケットが8個並び、スッと出してスッとしまえる『sussu(スッス)』という名前で売り出し、今では百貨店や大手小売店など全国的に販売されるまでになりました。企業理念は『アイデアで人の役に立つ』です」
--現在注力している事業内容や主なターゲットは
「ワンランク上の化粧ポーチ『sussu more(スッス モア)』を開発しています。これはフタの部分を、より開けやすくするためにマグネットを採用し、超撥水・防汚加工の合皮を使いました。忙しい女性や男性にも使ってもらえる商品に仕上がっています」
--今に至るご苦労や思い
「この業界にいたわけでもなく、メーカーとしても全くの素人。主にパソコンの仕事をしていたので、営業も苦手。一人会社なので相談できる人もいない、という“ないないずくし”でした。それでも発明協会に相談したり、地域の商工会議所などの支援機関からアドバイスをいただいたり、起業のセミナーにも参加しました。また工場探しにも苦労しました。今では、紹介いただいた静岡市内の工場と地元の内職の方に縫製をお願いしています」