【コリア実況中継!】新型コロナ禍の日韓関係 「ねじれ」を生んだ3者の思惑





10日、就任3年に合わせた演説後、ソウルの大統領府で会見に臨む韓国の文在寅大統領。演説で日韓関係には言及しなかった(共同)

 韓国の検査態勢をおとしめる偽ニュースが日本で流れている-。新型コロナウイルス対策をめぐり4月、大手を含む韓国メディアが、日本のネットメディアを発信源とする不正確な報道を大々的に取り上げ、それが韓国内での日本批判につながる騒ぎがあった。日本国内のテレビや新聞では一切報じられていないにもかかわらず、韓国側はなぜ強く反応したのか。経過をたどると、情報が随所でねじれていった様子が浮かび上がった。(外信部 時吉達也)

■「ニコ動」掲載ニュースが発端に

 聯合ニュースなどで報じられ問題となった記事は、韓国製の検査キットについて「7~8割が不良品と発覚した」とする内容。日本のネットメディア「ゴゴ通信」(東京都新宿区)が、動画投稿サイト「ニコニコ動画」などを通じて4月25日に配信したもので、韓国の大手紙、東亜日報系のテレビ局「チャンネルA」が報じたニュースを転電した韓国ネットメディアの記事をさらに転電する形で書かれた記事だった。

 引用元をさかのぼっていくと、もともとの情報は検査後の検体搬送に関わる製品の問題が指摘されていることを伝えるものだったことが分かるが、転電が繰り返される中で、検査キット自体の信頼性を否定する内容に塗り替えられていったとみられる。

 ゴゴ通信代表の男性は、取材に対し「検査の過程でキットに不良品があったのは確かだ。(したがって25日の記事は)まったくのデマではないが、追記は検討している」と話した。同社は「毎日読みたくなるオモシロサイト」「ライトなネットニュースメディア」を標榜(ひょうぼう)。韓国報道に関しては現地で日本語教師を務めた経験のある日本人スタッフを採用して情報収集を行っているという。

■朝日が韓国世論刺激

 日本のネットメディアが発信した1本の記事が韓国側で大々的に取り上げられ、急速に拡散した背景には、同時期に登場した別の報道の存在があった。

 朝日新聞はゴゴ通信と同じ25日、「『世界標準』の韓国式コロナ検査 日本が採用しない理由」と題したネット記事を掲載。韓国政府はPCR検査の対日支援を検討しているのに、日本の要請がないため支援表明ができない状態にあると主張した上で、「安倍政権の中で、韓国政府による対策を率直に認める政治家や官僚は見当たらない」と、政権側を批判する内容だった。

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