国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は21日、英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、新型コロナウイルスによる企業倒産の増加を警戒し、銀行に対し自己資本を強化するため配当の中止を促した。大恐慌以来の景気悪化が予測され、金融機関のストレステスト(健全性審査)の基準を見直す必要性も指摘した。
世界の30の大手銀行は昨年、配当や自社株買いに合わせて約2500億ドル(約27兆円)を充てたと説明した。新型コロナによる突然の経済収縮に直面しているため、こうした株主還元策をやめて「資本基盤をさらに強化すべきだ」と主張した。企業の資金繰りを支えて景気回復につなげれば、投資家の利益にもなるとの見方を示した。
各国の規制当局は2008年のリーマン・ショックの経験を踏まえ、金融機関の資本に関する健全性を厳しく審査してきた。現状では深刻な景気後退に見舞われているため基準を「更新する時期だ」と強調した。(共同)