【主張】ドラマの休止 テレビ文化の転換促そう

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 NHKが大河ドラマの「麒麟がくる」と連続テレビ小説「エール」の放送一時休止を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で収録ができないためである。

 長丁場の連続ドラマにとって痛手だが仕方がない。現場の働き方や長年の慣習、制作手法を改革するチャンスと捉え、世界的規模で社会が変容する今こそテレビ文化の転機にしたい。

 発表によると「麒麟がくる」は6月7日、「エール」は同27日の放送で休止する。いずれも視聴率は好調だが性格は違う。大河は日曜夜のエンタメ、朝ドラは日常に組み込まれた習慣的要素が強い。代替番組は再放送や総集編、特別編などを検討中だ。視聴者を逃さない工夫が必要だろう。

 再開時期は未定だ。現状、大河は1年、朝ドラは半年間の放送だが、それはテレビ局の都合にすぎない。質を重視して多少延長するなど柔軟に対応してはどうか。

 今後、東京都の緊急事態宣言が解除されても撮影再開には厳しい対応が求められる。スタッフや出演者の「3密」を防ぎつつ消毒を徹底し、多数の出演者が必要な場面は再考が要るかもしれない。

 これはテレビに限ったことではない。人気漫画「ゴルゴ13」も連載開始から52年で初の休載を発表した。制作現場は10人以上のスタッフが集まる3密状態で、その健康を守るためにやむを得ない決断だったという。漫画やアニメなど日本が得意とする繊細な表現やアナログ的なもの作りは、その品質ゆえにクールジャパンとして評価されてきた。その制作現場がウイルスに直撃されている。

 とはいえ、悪いことばかりではない。スポーツ番組などの代わりに再放送されている良質なドラマやドキュメンタリーを楽しむ視聴者は案外多いのではないか。

 情報通信白書によると、日本の放送コンテンツの海外輸出額は年々伸びており、平成29年度は約445億円だった。アニメが急増する一方、かつて「おしん」の海外配信で実績を挙げたドラマの比率は下がっている。再編集や売り方などの工夫が必要である。

 反省を促したい面もある。最近のテレビは文化を消費するばかりで蓄積することを忘れがちではなかったか。文化は古いものばかりではなく、日々つくられていくものだ。それを未来に伝えるテレビの役割も今一度考えてほしい。

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