中国、批判覚悟で統制強化へ 香港関連議案採択





中国全人代で、香港に国家安全法制を導入する「決定」について投票する習近平国家主席(左)と李克強首相=28日、北京の人民大会堂(共同)

 【北京=西見由章】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)は28日、香港に国家安全法を導入する議案を圧倒的多数で採択した。習近平指導部は2012年の発足以降、敵対する政治勢力の党高官を反腐敗闘争で政治的に葬るなど、異論分子を摘発・投獄することで集権化を進めており、一国二制度の香港にもこの手法を本格的に拡大する。国際社会の批判や香港市民の反発といった“返り血”を浴びても統制強化を推し進める構えだ。

 議案は「香港が国家安全を守るための法制度と執行メカニズムに関する決定」。昨年10月に開催された共産党の重要会議、第19期中央委員会第4回総会(4中総会)の閉幕後に公表したコミュニケは、香港などの特別行政区が「国家安全」を守るための「法律制度と執行メカニズム」を確立する方針を明記していた。北京の政治研究者は「4中総会後、今回の全人代で国家安全法に関する議案を採択することは既定路線だった」と説明する。

 4中総会は「党中央の権威と集中統一指導」を擁護する制度を整えるとする決定を採択した。「集権化という国家統治の方向性が示された」(先の政治研究者)形で、その対象は香港にも向かうことになる。

 党内の各派閥が妥協する形で誕生した習指導部は当初、政治基盤が弱かった。だが反腐敗闘争を発動し、対抗関係にある共産主義青年団(共青団)派や、江沢民元国家主席が率いる上海閥の大物政治家を次々と標的にして権力を固めた。

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