新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、妊婦が抱える不安に対応しようと、ベンチャー企業がサービスを充実させている。取り組んでいるのは女性特有の課題についてIT(情報技術)での解決を図る「フェムテックベンチャー」と呼ばれる一連の企業。オンラインでの医療相談の実施や女性の悩み専用のアプリの充実など、サービス内容は多彩だ。政府が閣議決定した令和2年度補正予算案にも感染拡大の影響で働けなくなくなった妊婦への支援策が盛り込まれており、社会としての支援強化が進んでいる。
育児情報サイトのベビカム(東京都千代田区)は21日から、自治体や病院が妊娠中の健康管理や育児などに関して夫婦で学べる両親学級を開く際の支援サービスを始めた。ベビカムは4月以降、助産師などを講師に招いてオンライン両親学級を実施していたが、参加人数に制限があることから自治体などへのノウハウの提供に踏み切る。必要機材やネットワーク環境の選定、講習の進め方などを伝授する。
メドレーは埼玉県産婦人科医会と連携し、県内7カ所の医療機関を通じて妊産婦向けの無料オンライン相談を25日に始めた。来年4月30日まで続ける。
コロナ禍で不妊治療の中断を余儀なくされるケースも少なくない。ファミワン(渋谷区)は無料通話アプリ「LINE」のチャット機能を活用した無料相談を5月末まで実施中。不妊症看護認定看護師や臨床心理士などが自宅での過ごし方など、女性からのさまざまな相談に応じる。
一方、ネクストイノベーション(大阪市北区)も生理や避妊など女性特有のからだの悩みに特化したオンライン診察サービス「スマルナ」を平成30年6月から提供している。しかし新型コロナで産婦人科に行けない人からの相談が急増していることから、相談に対応する助産師や薬剤師の人数を増やした。
厚生労働省は27日、新型コロナの感染拡大への不安を抱える妊婦が仕事を休みやすいよう、医師の指導を受けた妊婦に5日以上の特別有給休暇を取得させた企業に対し、助成金を創設すると発表した。妊婦1人当たり100万円が上限で、助成対象は1事業所20人まで。政府は第2次補正予算案に90億円を計上しており、健康状態にひときわ気をつかう妊婦が感染拡大で抱く不安に対応する。