日本銀行は16日、金融政策決定会合を開き、大規模な金融緩和策の維持を決めた。新型コロナウイルスによる影響が拡大した3月以降、相次ぎ打ち出した緩和策で市場の安定化や企業の資金繰り支援に対応できると判断し、その政策効果を見極める。総枠75兆円の企業の資金繰り支援は、政府の令和2年度第2次補正予算で企業向けの無利子・無担保融資が拡充されたことなどに伴い、110兆円規模に拡大する。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は会合後の記者会見で、感染症による内外経済への影響については「極めて不確実性が大きい」と指摘。「状況に応じて、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく緩和措置を講じていく」と述べ、感染症の影響が長期化した場合は新たな緩和策が必要になるとの考えを示した。
会合後に公表した文書では、景気判断を4月に示した「厳しさを増している」から「極めて厳しい状態にある」に下方修正した。また、国内経済の先行きについては、新型コロナの影響が今年後半にかけて徐々に和らぐことを前提に、改善していくとした。
ただ、黒田総裁は「ワクチンが開発され、広く利用されない限りは(感染症の)再拡大リスクは残る」との懸念を強調した。
日銀は3月以降の会合で企業の資金繰り支援を強化し、企業に融資する金融機関に金利0%で資金を供給する新制度などを導入。今回、長短金利の操作のほか、年間約12兆円の上場投資信託(ETF)の購入枠なども維持した。