静岡県、リニア工事認めず「協定結ぶ状態にない」

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 静岡県が3日、リニア中央新幹線の静岡工区の準備工事の着工を現時点で認められないと正式に回答した。トンネル工事による流量減を心配する大井川流域市町は県の対応を「流域を大事にしている」(川根本町の鈴木敏夫町長)と評価した。これを受けて、JR東海は東京・品川-名古屋間の令和9年の開業予定を事実上断念する方針を表明。予定通りの開業を望んできた山梨県議会は同日、国が前に出て解決するよう求める意見書を可決しており、開業を見越して地域振興を行ってきた県外の沿線自治体には波紋が広がりそうだ。

 「直接持っていったほうがいい」。静岡県の難波喬司副知事は2日、県の担当者に対し、回答書をJR東海の担当者に直接手渡すよう指示した。JRからの申し入れ書はメールで届いたため、県の担当者は回答もメールで送付しようとしていた。しかし、一大プロジェクトの遅れにつながりかねない正式回答の重みを知る難波副知事は丁寧に対応するよう促した。県の担当者は3日の朝一番に同社の中央新幹線静岡工事事務所に足を運び、永長隆昭所長らに4枚にわたる回答書を手渡し、内容を説明して理解を求めた。

 計画通りの開業を目指していた同社にとって、静岡工区を含む南アルプストンネルは最大の難所であり、一刻も早い着手を見据えていた。同社は県の着工同意が得られなかったヤード(作業基地)整備に3カ月、その後の非常口や作業用トンネルの工事に3年半ほどかかるとしており、開業予定から逆算すると本体トンネルの工事期間は3年ほどしか猶予がなかった。

 県は回答書の中で、準備工事を認めない根拠として、5ヘクタール以上の開発には県自然環境保全条例に基づく協定を県と事業者の間で締結する必要があることを挙げた。

 同社が早期着手を要請していたのは静岡工区の3カ所のヤードでの換気設備や濁水処理施設の設置、導水路トンネル入り口付近の樹木伐採や斜面補強などだ。こうした工事を「準備作業であり、トンネルの掘削とは明確に区分できる」(宇野護副社長)としていた。

 しかし、県は回答書で導水路トンネル入り口付近の整備や濁水処理施設の設置のためのヤード工事を「トンネル掘削工事の一部であり、協定を締結する必要がある」と譲らなかった。そのうえで、国の有識者会議や県の専門部会で環境影響に関する検討を行っている最中だとして「県としては現時点で協定を締結する状態に至っていない」とし、準備工事の早期着手を拒否した。

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