マイナンバーカードを使ったポイント還元「マイナポイント事業」の申し込み受け付けが1日に始まったが、決済事業者が自社ポイントの上乗せを相次いで発表するなど、利用者の争奪戦が激化している。登録できる決済サービスは1人につき1つのため、選ばれれば事業終了後もメインの決済手段として利用が期待できるからだ。競争激化は利用者にとってもうれしいが、決済サービスは一度登録すると変更できない。十分に吟味した上で決める必要がありそうだ。
追加キャンペーン
「キャンペーンを追加します」。フリーマーケットアプリ大手のメルカリは3日、マイナポイントにQRコード決済「メルペイ」を登録した人を対象に、最大1千円分のポイントを還元するキャンペーンと、抽選で総額1億円分のポイントをプレゼントするキャンペーンの追加を発表した。
同社は既にメルカリでの購入に伴う1千円分のポイント上乗せを発表しており、追加分と政府のポイント還元を合わせると計7千円分のポイントと抽選の権利が得られることになる。「利用者を大きく増やす可能性がある重要な機会と考えている」。同社の担当者は追加理由をそう語る。
マイナポイント事業は消費喚起などを目的に政府が9月から来年3月まで実施。マイナンバーカードにキャッシュレス決済サービスを登録すると、その決済サービスで買い物やチャージをすれば25%(最大5千円分)がポイントとして還元されるという施策だ。
一度登録すると変更不可
キャッシュレス事業者にとっては、政府の支援を受けながら顧客開拓できるため、自社ポイントを上乗せするなどして、登録を呼び込もうと取り組んでいる。
ただ、キャッシュレスに詳しい関係者は「しばらくは様子を見た方がいい」と語る。一度登録したサービスは変更できないため、今後、より魅力的なキャンペーンを発表する事業者が出てきても乗り換えられないからだ。事業開始までにはまだ2カ月あり、急ぐ必要はない。
全てのキャッシュレスサービスが対象になっていないことにも注意が必要だ。特にクレジットカードは数百のサービスがあるとされるが、参加しているのは35サービスのみ。総務省の担当者は「今後も増やしていきたい」と説明するが、ある関係者は「システム改修費用の方が高くつく」と後ろ向きだ。マイナンバーカードの普及率が17%程度の現状では、コストをかけるだけの効果が見込めないという判断もあるようだ。(蕎麦谷里志)