【めぐみへの手紙】あなたを思い天国に召されたお父さん 決意を引き継ぎ全身全霊を注ぎます



誕生から1年ほどたった横田めぐみさんを乗せた乳母車を押す父の滋さん。可愛くて仕方ない愛娘とのツーショットを妻、早紀江さんが撮影した=昭和40年、名古屋市内
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 めぐみちゃん、こんにちは。必ず再会するという決意を胸に、幾度となく、愛(いと)しいあなたの名前を呼びかけてきましたね。めぐみちゃんに、大切なことを伝えなければなりません。6月5日午後2時57分。あなたが大好きなお父さんが、天国に召されました。

 病床にあって、いつも笑顔をたたえ、あなたを強く思いながら、最期まで静かで、穏やかな、お父さんらしい旅立ちでした。あなたの写真に囲まれ、たくさんの祈りにも支えられて、優しい光の中に包み込まれるように、スッと天に引き上げられていきました。

 何から伝えればよいのか-。めぐみちゃん、伝えたいことがあまりに多く、うまく言葉につづれません。

 お父さんが天に召されてから、皆さまの励まし、力強い慰めの声を次々と頂きながら、一つ一つにしっかりと、お応えするいとまもなく、結局、目まぐるしい日々が過ぎていきます。

 静かに思いを巡らせる余裕はありませんが、めぐみちゃんと必ず再会し、抱き合えるという確信はますます強くなりました。支えてくださる皆さまの存在が、勇気となっています。

 42年間、あなたの姿を追い、全身全霊で闘ったお父さんは、最期に力強い信仰も得て、世の本質をしっかりと見据えながら、お母さん、弟の拓也、哲也たちへ思いを託し旅立ちました。

 お父さんは晩年、思うように言葉が出にくくなりました。でも、その胸中は優しく、毅然(きぜん)とした姿ににじみ出ていました。「めぐみたちを全員救い出す。最後に必ず、正義をかなえる」

 誰にも等しく、誠実であろうとしたお父さんの思いを、引き継がなければなりません。めぐみたち残る被害者全員に祖国の土を踏ませる。お母さんは、先に天に召されていったお父さんたちが、人生の闘いの末、見届けられなかった正義の結実をかなえたいのです。

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