宮崎県が所有するブランド和牛の精液が7道県に流出していたことが、県への取材で分かった。県は今年5~6月、不正に県外に持ち出したとして、授精師4人を家畜改良増殖法に基づき、3カ月~1年の業務停止処分とした。
県によると、平成28年から30年にかけ、授精師の1人が精液の入ったストロー約120本を精液証明書を付けずに県内の別の授精師に譲渡した。中には、県を代表する「耕富士(こうふじ)」などが含まれていた。そこから別の授精師2人を経由して北海道などに流出した。
証明書がないと、精液など遺伝資源の流通管理が難しい。海外に転売されて生産されれば競合し、国内の飼養農家の経営を圧迫する事態になりかねない。
農林水産省は、罰則のある家畜遺伝資源の不正競争防止法を今秋に施行予定で、流通管理を強化していく。