ジョー・バイデン氏
ジョー・バイデン米行政府でも続く自国産業保護主義に対応するために自由貿易協定(FTA)など多国間貿易体制を積極的に活用する必要があるという主張が出てきた。バイデン行政府でも強大国の一方主義が続き、これに伴う米中葛藤の余波が韓国経済に及ぼすだろうという予想から出た提言だ。
24日、ソウル汝矣島(ヨイド)中小企業中央会会議室で開かれた「米国大統領選以降世界経済見通しおよび韓国経済の政策方向摸索」セミナーで出席者はバイデン行政府もトランプ政府と同様に通商政策で保護主義の傾向が続くだろうということで概して一致した。
高麗(コリョ)大学未来成長研究所(所長キム・ドンス前公正取引委員長)が主催して中小企業中央会・中央日報が後援したこの日のセミナーに発表者として出た対外経済政策研究院のチョン・チョル上級研究委員は「バイデン政府がトランプ方式の貿易規制を批判するだろうが、保護主義的方式は当分維持する可能性がある」として「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や韓日中FTA、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)などを活用した通商強小国との連帯を通じて強大国の一方主義と保護貿易主義に対応しなければならない」と話した。米中など巨大国を1対1で対応するより多国間協議体を通した対応が韓国に有利に働く可能性があるという論理だ。
討論者として参加した中央日報のキム・ドンホ論説委員は「バイデン氏の『バイ・アメリカン(Buy American)』のスローガンは米国主導の通商秩序を作るという意味も含まれたとみられる」とし、「RCEP・CPTPPなどを最大限活用する実用的な路線を選ぶべきだ」と話した。産業研究院のミン・ヒョクギ研究委員は「2008年世界金融危機以降、通商保護基調が拡大してトランプ氏・新型肺炎などの懸案が重なって流れが加速化した」とし「貿易先進国の進入段階にある韓国では輸出だけを拡大するより開発途上国との交易自体を拡大させる努力も注いでこそ持続的な利益を図ることができる」と話した。
2021年経済飛躍に向けた課題としては生産性向上が挙げられた。韓国開発研究院のチョ・ドクサン研究委員は「国内総生産(GDP)の成長に対する生産性貢献度が長期的に減っているのが観測される」として「特に、サービス業の生産性改善が実現しなければ成長率見通しも暗くならざるを得ない」と指摘した。また、中小企業中央会のチェ・ボクヒ政策総括室長は「新型コロナ以降通商環境の急変期には経済的実利を得られる政策を政府が先制的に推進する必要がある」とし、「直ちに息絶える中小企業を対象にした時宜を得た支援も必要だ」と提案した。