韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が屈辱的な謝罪に追い込まれた。法相と検事総長の対立で政局が混迷、政権に関する疑惑の捜査も進む。新型コロナウイルスの感染も再び急拡大、支持率は過去最低に落ち込むという袋小路だ。
文氏は7日、大統領府の会議で秋美愛(チュ・ミエ)法相と尹錫悦(ユン・ソンヨル)検事総長の対立を念頭に「政局の混乱で国民に心配をかけ、大統領として非常に申し訳ない気持ちだ」と陳謝した。ただ、検察改革と称して検事総長らから捜査権限を奪うというのは文氏自身の方針だ。
検察は南東部、慶州(キョンジュ)の月城(ウォルソン)原発1号機の資料を違法に大量削除したとして、産業通商資源省の局長級幹部と部下の2人を逮捕した。文氏が掲げた脱原発の方針に沿うよう、組織ぐるみで原発の採算性を不当に低める資料の改竄(かいざん)を行った疑惑も持たれている。
文政権が世界に自慢していた新型コロナウイルスの「K防疫」も厳しくなってきた。
全国の1日当たりの新規感染確認者は、11月上旬までは2ケタ台の日もあったが、それ以降は3ケタ台で推移、今月7日の発表では615人に上った。
8日からは首都圏で50人以上の行事や会合を禁止するなど社会、経済活動の制限強化を始めるが、韓国メディアは、より早い段階で対策を強化すべきだったのに政府が対応を遅らせたとの医療界の批判を伝えた。
韓国の世論調査会社、リアルメーターが7日に発表した文氏の支持率は前週より6・4ポイント落ちて37・4%と過去最低を更新。不支持率も過去最悪の57・4%となった。
打つ手はあるのか。