公明党が自民党との連立政権から離脱することを決めた。26年間にわたる自民党との連携に終止符を打つことに、僕は非常に驚いている。連立の解消は、国政選挙で公明党の協力を得てきた自民党にとって大打撃であるだけでなく、公明党にとってもメリットがないと思われたからだ。
公明党の政権離脱の理由は何か。公明党代表の斉藤鉄夫氏は、自民党の新総裁になった高市早苗氏に対し、以前から公明党が強く求めていた政治とカネの問題への取り組みが不十分であることを指摘している。確かに政治とカネの問題への取り組みに対する不満という部分もあるだろう。しかしそれだけではこのタイミングで離脱した説明がつかないのではないか。
結局のところ公明党は、自民党というより、高市氏を受け入れられなかったのだろう、と僕は見ている。
公明党の関係者の話を総合すると、支持母体である創価学会が、右寄りといわれる高市氏を受け入れられなかったのではないか。またこれまで公明党は自民党と意見を異にする部分については協議し、妥協しつつ乗り切ってきたが、高市氏が総裁になるとそれができないと判断したのかもしれない。
先行きの予想は難しいが……
このため将来、高市氏以外の人物が自民党総裁になったとしたら、公明党が連立に戻ってくる可能性はあると思う。ただ、当面の政治の先行きを予想することは非常に難しくなった。
一方、こうした政局では古いしがらみがなくなることがある。僕は長いジャーナリスト人生の中でそうした場面を何回も目にしてきた。政治家がそれまでにない決断をしやすくなる面もあるはずだ。僕はそこに注目している。
田原 総一朗