ロシア国旗
ジョー・バイデン米政権が、ウクライナの防空能力強化のため、米軍の地対空ミサイルシステム「パトリオット」を供与する方向で最終調整に入った。米主要メディアが複数の米当局者の話として報じた。ロイター通信によると、早ければ15日にも発表する見通し。ロシアのウラジーミル・プーチン政権は強い警戒を示しており、イラク戦争でも活躍したパトリオットの導入は、ロシアをさらに追い詰めそうだ。
【写真】ウクライナ国境に近いポーランド南部の空港に配備された米軍の「パトリオット」
高性能のパトリオットは、巡航ミサイルや航空機などの迎撃が可能で、供与によってウクライナの防空能力は大きく高まる。米紙ワシントン・ポストによると、パトリオットの最大射程は160キロで、現有の防空システムより射程が長い。
具体的な装備の数や射程などの性能に関しては明らかになっていないものの、供与が決定されれば、ドイツの米軍基地でウクライナ兵の訓練を実施することが検討されている。
ロシアは、ミサイルやドローン(無人機)でウクライナの電力施設など重要インフラへの攻撃を続けている。ウクライナ軍などによると、キーウ中心部に14日朝、イラン製無人機などによる攻撃があり、防空システムによって13機を撃墜した。
こうした事情から、ウクライナはパトリオットの供与を求めていた。米ブルームバーグによると、ロシアの大統領府は「供与検討報道」に対し、ウクライナ領内に配備される全てのパトリオットが攻撃対象になるだろうと述べた。それだけパトリオットの配備はロシアにとって痛手となるとみられる。
一方、ウクライナの南部では、同国軍の反撃が続いている。13日には、ロシア軍の物流拠点でクリミア半島への玄関口にあたるメリトポリなどで、ロシア軍の拠点を過去数日に破壊したと発表。ロシア軍は14日、ウクライナ側に奪還されたヘルソン州の州庁舎に砲撃を行った。