主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

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地上戦主体の「伝統的な戦争」がウクライナで勃発したため欧州諸国では主力戦車への需要が高まっており、リトアニアのルプシス陸軍中将も「機械化歩兵大隊の1つを戦車大隊に変更することを政府に提案している」と明かした。

生産拠点が欧州にあって保守やメンテナンスで有利なレオパルト2とK2PL、米国の後ろ盾を得られるエイブラムスへの引き合いは増加するだろう

リトアニア陸軍は機械化歩兵旅団と志願兵や予備役に訓練を提供する国防義勇軍(予備旅団)の4個旅団で構成されており、バルデマラス・ルプシス陸軍中将(国防長官=制服組のトップ)は13日「陸軍の編成を旅団から師団に再編する一貫として、機械化歩兵大隊の1つを戦車大隊に変更することを政府に提案している」と明かした。

主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

出典:Lietuvos kariuomenė

中将が言及した戦車大隊は戦車と歩兵戦闘車で構成され「最大54輌の戦車を取得する可能性がある」と述べたが、戦車大隊の創設は提案段階なので本当に資金供給が行われるかは未知数だ。しかしウクライナ侵攻を受けて伝統的な地上戦力の再評価に注目が集まり、欧州では新しく戦車や歩兵戦闘車の調達(侵攻前から計画されていたものを含む)や検討を行う国が急増しているため、中将の言及には注目が集まっている。

欧州諸国の戦車調達やアップグレード計画に関する動き
英国 チャレンジー2×148輌のアップグレード計画 見直し中
フランス ルクレール×200輌のアップグレード計画 50輌分を発注
イタリア 当面のギャップを埋めるための戦車調達が浮上 調達規模は125輌
ポーランド M1A2SEPv3導入を決定 250輌発注済み
M1A1FEP導入を決定 116輌発注済み
K2とK2PL導入を決定 約1,000輌調達
ノルウェー レオパルト2A7(NO仕様)導入を決定 54輌発注+オプション18輌
スロバキア レオパルト2A7導入を検討中 調達規模は50輌
ルーマニア M1の調達を検討中 調達規模は54輌
チェコ レオパルト2A7導入を検討中 調達規模は50輌
リトアニア 戦車大隊の創設を提案中 調達規模は54輌

英国はウクライナ侵攻前の2021年5月、20年以上も放置し続けたチャレンジャー2のアップグレードを決定したが、保有する227輌の内148輌(残りは部品取りとして保管)しかチャレンジャー3規格へのアップグレードを行わず、まもなく発表される安全保障政策の見直しで大幅な変更が行わるかもしれない。

主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

出典:UK Ministry of Defence

フランスはルクレールをXLR規格にアップグレードするための作業を正式発注、イタリアでもポルトラーノ中将が「アリエテとダルドの後継計画が具体化するまで時間がかり、このギャップを埋める戦車と歩兵戦闘車を迅速に調達したい」と国防委員会で言及、購入ではなくリース契約によるレオパルト2A7導入が噂されている。

ポーランドは米国からM1A2エイブラムスのSEPv3を250輌、米海兵隊が手放したM1A1FEPを116輌、韓国からK2とK2PLを計1,000輌調達することが決まっており、ノルウェーではウクライナ侵攻を受けて「戦車調達計画をこのまま進めるか」「将来計画に含まれていた長距離攻撃能力(恐らく多連装ロケットシステムのこと)の取得を優先するか」で揉めたが、最終的に戦車調達を支持してレオパルト2A7(NO仕様)導入を発表した。

主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

出典:U.S. Army photo by Spc. Christian Carrillo

東欧のスロバキア、ルーマニア、チェコでもレオパルト2A7やM1エイブラムスの導入検討が進んでいるが、既存のレオパルト2保有国でもアップグレードに関する噂が出ており、製造基盤が元々小さかったレオパルト2の生産ラインは既に数年先まで埋まっている状況で、ノルウェー曰く「戦車を欲しがる国やアップグレードを希望する国は沢山あり、決断が遅れれば長い行列の最後尾に回ることになる(ノルウェーへの初回引き渡しは1年遅れの2026年予定)」と指摘。

エイブラムスも状況は同じでリマ戦車工場の生産能力は月12輌(15輌という説もある)だと報じられており、米陸軍向けのM1A2/SEPv3(2023年度に22輌発注)、台湾向けのM1A2T×108輌(2024年納入開始)、ポーランド向けのM1A1/FEP×116輌(2023年納入開始)とM1A2/SEPv3×250輌(2025年納入開始)の発注分で生産ラインは埋め尽くされ、さらにオーストラリア向けのM1A2/SEPv3×75輌、ウクライナ向けの31輌(M1A1もしくはM1A2)が加わることも確定済みだ。

主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

出典:Mariusz Błaszczak ポーランド向けのM1A1/FEPは4月に引き渡し開始

つまりレオパルト2やエイブラムスが欲しい場合「一刻も早く発注しないと納期がどんどん伸びる」という意味だが、欧州諸国には3つ目の選択肢が登場している。

ポーランドでは2月末、現代ロテムとPGZ(ポーランド国営軍需企業)がK2PLの現地製造(ポズナンの工場で2026年に生産開始/韓国とポーランドで計820輌を生産予定)に関する契約に署名、これに立ち会ったブラスザック国防相は「ポーランドで生産されるK2PLは将来的にNATO加盟国でも採用されるだろう」と述べており、これからレオパルト2やエイブラムスを発注する国にとっては「納期の問題」でK2PLを選択する可能性も0ではない。

主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

出典:Mariusz Błaszczak 現代ロテムとPGZによるK2PL契約締結に出席したブラスザック国防相

どちらにしても欧州諸国の主力戦車に対する需要は旺盛で、生産拠点が欧州にあって保守やメンテナンスで有利なレオパルト2とK2PL、米国の後ろ盾を得られるエイブラムスへの引き合いは増加するだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Forsvaret

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